二宮和也&満島ひかり、撮影初日からチームワークは抜群 『TANG タング』現場レポート
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さらに4月2日、健とタングの出会いのシーンが千葉県内の牧場で撮影された。広大な牧草地を有し、その一角には立派な1本の木がそびえ立つエリアがあり、その幹に寄りかかるタングを健が見つけたことから、2人の大冒険が始まることになる。
ぼたん桜が満開に咲き乱れる陽気の中、この出会いのシーンは陽が落ちるまでに撮りきらなければならない全編ロケ撮影。早朝から各スタッフが準備に奔走(ほんそう)し、段取り開始は朝一で開始。加えて今回はタングを自在に動かすため、大掛かりなCG処理が必須となるため、撮影自体も特殊な工程を踏む必要があり、撮影前からかなりの試行錯誤が予想された現場といえるが、その場にはピリピリした空気はなく、和やかな中にも心地よい集中力が流れていた。
その中心にいる二宮もまた、常に自然体。重要なシーンとあって三木監督からは健の1つ1つの動作や、その時々の心情について出された細かいリクエストを二宮は即座に理解し、疑問があればすぐ確認するなど柔軟に対応していた。加えて、初対面となるタングを前に冗談を飛ばすなど、さりげなく“抜き”の時間を作り、現場の空気を穏やかにキープする姿が見られた。
その二宮が演じる健の相棒・タングの撮影にはいくつかの過程を踏む必要が。ポンコツロボットという設定を具現化すべく、ボディのあちこちをさび付かせたほか、傷み具合のディテールにもこだわりが光るタング本体を実際に現場に置いて撮影をする工程。タング本体は取扱注意の1点物のため、手足や首を動かすシーンにおいては、専門のスタッフが黒子的にタングを動かし、二宮と演技を合わせていく。さらに、シーンによっては腕だけのパーツなどを使って撮影をしていた。
そこから、細部まで作り込んだ「本番用」と「簡易版」を使い分け、さらには合成あり/なし、実景のみ等々、1つのシーンにおいても無数に撮影が生じることになった。それに合わせて二宮は同じシーンを何度も繰り返さねばならない状況だったが、集中力は一切途切れず、常にフレッシュな演技を披露していた。
撮影の合間に二宮に話を聞くと「CGと合成を使う現場らしさを感じています」と語りつつ、「人間がポップにやらないと、CGに追いつけない」と完成形を見据えた演技のこだわりを告白。
そして5月10日、主演の二宮がクランクアップを迎えた。旅の最終地点、海岸線が一望できる岬。波の音が間近に聞こえる絶好のロケーションで、物語の終盤に用意された健とタングの絆が光るエモーショナルなシーンを撮影。二宮にとってはこの日がクランクアップ日だが、全体の撮影スケジュール自体も、実景の撮影以外は本日で終了となり、初日から最終日まで、二宮とともに走り抜けた作品となった。
二宮は最終日も気負うことなく的確な演技を披露し続け、トラブルもなく完走。クランクアップを迎えた際には「本当にうれしいです」と充実感をにじませつつ、「誰一人新型コロナウイルスの感染者が出なかった。これは我々の映画への愛情です」と感染対策を徹底して撮影を行ったスタッフ・キャストをねぎらう。その言葉に聞き入っていた三木監督は「みんなが手探りだったけど、考え抜いてタングと一緒に成長できた」とコメントした。
映画『TANG タング』は、8月11日より全国公開。