『靴ひものロンド』 秘密がめぐる、めちゃくちゃな家族の不気味な崩壊と衝撃を描く予告
第77回ヴェネツィア映画祭オープニング作品で、2021年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の主要3部門(主演女優賞・主演男優賞・脚色賞)にノミネートされたイタリア映画『靴ひものロンド』が、9月9日より公開されることが決定。日本オリジナル予告編が解禁された。
【動画】アップテンポな音楽の中、家族の秘密がめぐる 『靴ひものロンド』本予告
本作は、「ニューヨーク・タイムズ」が2017年の〈注目の本〉に選出し全米で絶賛された、ドメニコ・スタルノーネによる家族小説「靴ひも」を、イタリアの名匠ダニエーレ・ルケッティが映画化。いびつな絆で結ばれた、愚かで愛おしい家族の物語だ。
1980年初頭のナポリ。ラジオ朗読のホストを務めるアルドと妻ヴァンダ、アンナとサンドロの2人の子どもたちの平穏な暮らしは、夫の浮気で終わりを告げた。家族の元を去ったアルドは、定期的に子供たちに会いに来るがヴァンダはすべてが気にいらない。次第にヴァンダの精神状態は不安定になり、その行動もエスカレートしていく。衝突ばかりの両親の狭間でアンナとサンドロは母に寄り添うのだった。
混沌とした数年を経て、家族は些細なきっかけでふたたび共に暮らし始める。月日は流れ、冷え切った関係のまま老齢を迎えた夫婦は夏のバカンスへ。1週間後に自宅へ戻ると家はひどく荒らされ、飼い猫は失踪していた…。
キャストは、若かりし日の夫婦を、『幸福なラザロ』や『おとなの事情』のアルバ・ロルヴァケルと、「いつだってやめられる」シリーズや『夜よ、こんにちは』のルイジ・ロ・カーショ。老年期の夫婦を、『息子の部屋』のラウラ・モランテと、『息子の部屋』や『ボローニャの夕暮れ』のシルヴィオ・オルランドが演じる。
日本オリジナル予告編は、作家の角田光代が本作に寄せた「愛も自由も、こんなに恐ろしいしっぺ返しとなって戻ってくる。夫婦の、家族の、いや、人間というものの底知れなさを思い知る」というコメントから始まる。ナレーションはフリーアナウンサーの堀井美香が務めており、柔らかで芯の強い声色で映像に軽やかさとポジティヴな印象を与えている。
家族そろって出かけ、食卓を囲み、テレビを観て一日を終える―そんな4人家族の平穏な暮らしが、夫のひと言で終わりを告げる。「女性と関係をもった」と浮気を告白するアルド。予想だにしなかった愛する人の言葉、態度にヴァンダは強烈な一撃をくらわす。
この日を境に、家族の生活は一変。子どもたちが静かに見つめる中、もつれなだれ込む修羅場の数々。そして、1980年代と現代、2つの時代を織り交ぜて物語は進んでゆく。終盤では、老年期のアルドが「夫婦を続けるには、話さないことが不可欠だ」と意味深に語る姿も。「不気味な崩壊と衝撃。おろかでいとおしい、家族の物語」というナレーションとともに哀愁を漂わせるキャラクターそれぞれのアップが映し出され、最後は靴ひもを結ぶシーンで幕を閉じる。
映画『靴ひものロンド』は、9月9日より全国順次公開。