菊地凛子、初の邦画単独主演で全編ノーメイクの熱演 熊切和嘉監督と20年ぶりのタッグ
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『バベル』や『パシフィック・リム』の俳優・菊地凛子が、熊切和嘉監督と20年ぶりのタッグを組んで初の邦画単独主演を務める映画『658km、陽子の旅』が、2023年に公開されることが決定した。
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『バベル』(2006)で米アカデミー助演女優賞にノミネートされ、その後『パシフィック・リム』シリーズなど数々のハリウッドの映画やドラマ、ヨーロッパ映画で主要な役を重ねてきた菊地凛子。本作は、そんな国際的俳優の菊地が、父の訃報を受け東京から青森県の実家まで、思いがけずヒッチハイクで向かう羽目になるヒロインを演じる東北横断ロードムービー。
就職氷河期世代で青森県弘前市出身のフリーター、陽子。夢破れ人生を諦めて以降、惰性で日々を過ごしていた42歳の独身女性だ。彼女はある日、かつて夢への挑戦を反対され、20年以上断絶状態だった父が突然亡くなったと知らせを受ける。 そして従兄・茂の一家が葬儀のため弘前へ帰る車に無理やり乗せられ、しぶしぶ一緒に帰ることに。しかし、茂は途中のサービスエリアでトラブルを起こした子どもに気を取られ、陽子を置き去りにしてしまう。
陽子は弘前に向かうことを逡巡しながらも、所持金がない故にヒッチハイクをすることに。出棺は明日。それまでに実家にたどり着けるのか。北上する一夜の旅で出会う人々…シングルマザー、人懐こい女の子、怪しいライター、心暖かい夫婦、そして若かりし父の幻…様々な人々との交流により、時を止めていた陽子の心が動きだす。
原案は、『嘘を愛する女』『哀愁しんでれら』等の話題作を輩出する映画オリジナル企画コンテストのTSUTAYA CREATORS’PROGRAM(TCP)で、2019年に脚本部門の審査員特別賞受賞した作品。『ノン子 36歳(家事手伝い)』や『夏の終り』で詩情豊かに繊細な女性を描いてきた熊切監督は、この企画を快諾し参加。原案脚本の受賞者である室井孝介と脚本をさらに深め、現代を繊細に生きる“陽子”像をより浮き彫りに。閉ざしていた陽子の心の動きに、未だ震災の爪痕残る東北の風景を重ねて、よりドラマティックな内容へと昇華していった。
熊切監督は、2001年に劇場デビュー作『空の穴』で当時新人の菊地をヒロインに抜てき。以降それぞれ別の道で活躍した後、2021年に熊切監督が主人公の陽子役を、菊地凛子しかいないとオファー。菊地は「自分を見出してくれた熊切監督ならば」と快諾し、20年ぶりの邂逅となった。本作で菊地は、初冬の東北で過酷な状況に陥る主人公を、全シーンノーメイクで熱演。ロスジェネとも呼ばれるこの世代が背負うリアルを見事に表現している。
菊地は、本作への出演にあたり「20年前私が女優としてやっていけるか、不安だった時に『空の穴』ではじめて大きな役をいただきました。この作品をきっかけに私は俳優の道を行くことを決め、『バベル』など海外の作品にも挑戦することが出来ました」と、熊切監督が自身のキャリアに大きな影響を与えたことを明かす。
そして「この20年間、熊切監督が活躍されている姿や作品を拝見するたびに、自分はまた声をかけてもらえる俳優として成長できているのか、もしその時がきたら全力で熊切監督の作品にぶつかっていこうと思っていました。その思いが、形となって、この作品で、ついに叶いました。40歳台となった私の新たな道の節目として、この作品に参加できたことを何よりも誇りに思います」と語っている。
映画『658km、陽子の旅』は2023年全国公開。
※菊地凛子、熊切和嘉監督、室井孝介コメント全文は以下の通り。