北野武監督、“構想30年”戦国時代を描く最新作への思い「自分が撮ればこうなる」
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北野武監督が15日、都内にて開催された映画『首』完成報告会見に、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋と共に出席。戦国時代を描く本作へ込めた思いを語った。
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本作は、北野監督が構想に30年を費やした戦国スペクタクル。戦国時代を舞台に、日本人なら誰もが知る戦国武将、羽柴秀吉、明智光秀、織田信長、徳川家康らと“本能寺の変”を大スケールで描く。
劇中では羽柴秀吉を演じた北野監督は、本作の撮影を振り返り「時代劇は、よく見るのはNHKの大河なんですけど、どうもすごいきれい。人間の業とか欲とか裏切りとかはあまり描かれていないので、自分が撮ればこうなる、というような発想でやろうということになって、結局だいぶ苦労したんですけど、どうにかできあがった」とコメント。
また、明智光秀役の西島は「北野監督作品に呼んでいただいたのは『Dolls』以来ということで、もう20年くらい(前)ですかね。とにかく、自分が成長した姿を見せようなんてことは絶対に考えないように、無欲に、監督の頭の中にある作品をなんとか現実の世界に、表に出すために自分の力を出し尽くそうということで現場に毎日臨んでいました」と撮影時の心境を語った。
北野監督は、本作の着想について尋ねられると「ここ何年か歴史ブームで、必ず信長が出てくると明智光秀の本能寺の変というのがよく出てくる」とした上で、「自分が考えるのは、秀吉の恩返しというのは出来レースであって、これは裏で秀吉がかなり動いたな、というのがこの映画の構想。いずれこれを映画化してやろうとは何年もかかったけど思っていた」と自分なりの歴史解釈を披露した。
続けて「最近になって、北野組が集められる役者さんで、優秀な役者がこれほど集まるようになれば、そろそろ撮れるなという感じがあって、やっと実現したという感じ」とこのタイミングでの完成となった経緯を明かした。
撮影現場でのエピソードを聞かれた西島は「撮影が後半になって、もうすぐ終わる時に監督が1シーン追加したいとおっしゃって、撮影があったんですけど、その1シーンは、結構大きなセットを組んで撮影したんです」と告白。「僕も新しくシーンが追加されたのがうれしくて、わくわくしながら現場に行ったら1カットで終わって。『こんなセット作って1カットで終わるんだ』っていう(笑)。ちょっとスタッフもぼう然としながら、僕も寄りとかあるのかなと気持ちを込めて演技をしていたんですけど、一瞬で終わって帰ったという思い出があります」と打ち明けた。
西島はさらに、「本当にぜい沢。本当に監督の欲しい画のために、1カットのためでもそれだけのものを作るという、素晴らしい現場だという記憶がすごく残っています」と振り返っていた。
映画『首』は、2023年秋より全国公開。