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『青春18×2』藤井道人監督「今までで一番上手くいった」初挑戦の国際プロジェクトが“しっくりきた”訳とは

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映画『青春18×2 君へと続く道』場面写真
映画『青春18×2 君へと続く道』場面写真(C)2024「青春18×2」Film Partners

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 シュー・グァンハンと清原果耶がダブル主演する日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』の藤井道人監督が、初挑戦となった国際プロジェクトを振り返り、「この映画が言葉や文化の壁を取っ払ってくれたことにすごく感動しました。この数年間撮影してきた作品の中でも、撮影は一番うまくいったと思います」と明かした。

【写真】『青春18×2 君へと続く道』ジミー(シュー・グァンハン)とアミ(清原果耶)のデートシーン

 本作は、国内興行収入30億円超のヒットを記録した『余命10年』の藤井道人監督最新作にして初の国際プロジェクト。台湾で話題を呼んだジミー・ライの紀行エッセー『青春 18×2 日本慢車流浪記』を原作とし、藤井が脚本・監督を務めた。台湾だけでなく国際的な人気のスター俳優、シュー・グァンハン演じるジミーと、日本の若手実力派女優・清原果耶演じるアミが【日本×台湾】【18年前×現在】を舞台に紡ぐ、切なくも美しいラブストーリーだ。

 始まりは18年前の台湾。高校生のジミー(シュー・グァンハン)は、日本から来たバックパッカー・アミ(清原果耶)と出会う。天真らんまんでどこかミステリアスな彼女と過ごすうち、いつしか恋心を抱いていくジミー。アミもまた、ある秘密を抱えながらもジミーへ思いを寄せていく。しかし、ある日突然アミが帰国することに。別れ際に2人は“ある約束”を結ぶ。時がたち、現在。人生につまずき故郷に戻ってきたジミーは、かつてアミから届いたはがきを手に取る。初恋の記憶がよみがえり、あの日の約束を果たそうと彼女が生まれ育った日本への旅を決意する。旅の道中で彼女と過ごした日々の記憶が心にあふれ出す―。

 3月14日に世界最速で公開された台湾では、公開1ヵ月ですでに観客動員30万人、興行収入7000万NTDを突破し、今年台湾で公開された台湾映画(合作含む)ではナンバー1ヒットを記録。ベトナムでは、先行上映を含む10日間ですでに30万人動員を突破し、歴代日本映画実写第1位の記録となった。

 そんな本作で監督を務める藤井道人は、自身にとって初となる日台合作という国際プロジェクトに挑戦。慣れない土地で、海外スタッフとの撮影だったにもかかわらず、藤井監督は「ここ数年で撮影した作品の中で一番うまくいった」と語っており、その理由について日本スタッフ・台湾スタッフの両者が共にいい作品を作り上げようという“熱意”を共有していたため、言語や文化の壁を超えて撮影に臨めたからだと明かした。

 「台湾の映画を僕たちが観ているように、彼らも日本の映画を観ていて、言葉も文化も越えていく映画という芸術の凄さを改めて感じました。同じ“映画人”として、相互にリスペクトしあって一緒にものを作っていく時間は、何物にも代えがたいものでしたね。より純粋に映画が好きになりましたし、もっといい映画を作りたい、もっと色々なプロジェクトをこういうチームでやりたいと素直に思えました。脚本づくりについても、台湾サイドから何かを言われた記憶はほぼありません。“台湾の文化ならこうだよ”という時代考証や言い回しの調整程度で僕がこの映画の核としてやりたいものに関しては日台共に寛容でいてくれました」と監督。

 言葉が通じない環境でこそ出合えた、人間の本質、日台チームが融合した撮影を振り返り、藤井は「言葉が通じないってこんなに凄いことなんだと肌で感じた」と語る。

 「映画でいうところの“説明しないってこれだけ豊かなことなんだ”と似ていますが、言葉が通じないことでみんなが知ろうとするんです。“答えをください”じゃなくてみんなでどうすればいいかを考えたり、言葉が通じないからこそ能動的に動く瞬間が増えたように感じました。台湾の言葉でOKという意味の“ソーダォ”を日本のスタッフが言い、台湾の助監督が“本番行きます! よーいスタート”と日本語で言うようになったのはすごく嬉しい出来事でした。日本から来た僕たちは“謝謝”と言い、向こうの人たちは“ありがとう”と言うような交流――。この映画をやっていなければ、こうした人間の本質や在り方には出合えなかったと思います」

 本作の撮影は台湾と日本の2ヵ所でオールロケにて敢行され、日本での撮影は日本人スタッフが、台湾の撮影では現地のスタッフが参加した大規模な〈国際プロジェクト〉。文化や言語、撮影手法も異なるスタッフたちを束ねるのは藤井監督。

 監督は、自身初の国際プロジェクトとなる本作を“監督人生第二章の始まり”と位置付けており、その気合の入り方も並大抵のものではない。そんな藤井監督は本作の撮影を振り返り、「今回の撮影では、言葉が通じないからこそ、お互いに理解し合おうと、しっかり目を見て、通訳してくれた言葉を大事に、全員が良いものを作ろうという意識が強かったからだと思います。この映画が言葉や文化の壁を取っ払ってくれたことにすごく感動しました。この数年間撮影してきた作品の中でも、撮影は一番うまくいったと思います」と語り、文化と言葉が違うからこそ、綿密なコミュニケーションを通して作品作りへの“熱意”をより強く共有することに繋がったことを告白。

 さらに「普段の映画やドラマの現場は忙しくて、スケジュールや予算などの色々な事情があります。なので『周りの言っていることを蔑ろにしたり、言葉を聞き流して撮影をしていないか?』という自己反省もありました。その反省を生かし、今回の撮影ではスタッフ同士でお互いの声を聞きながら進められました」と本作がこれまでの監督人生の経験を生かした作品であることも明かしている。

 映画『青春18×2 君へと続く道』は、5月3日より全国公開。

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