47年7ヵ月もの獄中生活を送ってきた袴田巖さんを追ったドキュメンタリー映画、10.19より公開決定
1966年6月に静岡県でみそ会社専務一家4人が殺害され、放火された事件の犯人とされ、47年7ヵ月にわたり獄中生活を送ってきた袴田巖さんを追ったドキュメンタリー映画『拳と祈り —袴田巖の生涯—』が、10月19日より全国順次公開されることが決定。併せて、キービジュアルが解禁された。
【写真】袴田巖さんの闘いの軌跡を追う――映画『拳と祈り —袴田巖の生涯—』場面写真
2014年3月、東京拘置所。死刑囚の袴田巖さんが、突如釈放された。1966年6月に静岡県でみそ会社専務一家4人が殺害され、放火された事件の犯人とされ、47年7ヵ月もの獄中生活を送ってきた。あす突然、死刑が執行されるかもしれない。そんな恐怖の日々をくぐり抜け、30歳の元プロボクサーは78歳になっていた。
ワゴン車で東京拘置所を後にした時、本作監督の笠井千晶が助手席で回すカメラが捉えたのは、まるで夢から覚めたような袴田さんの表情だった。その夜、半世紀近く引き裂かれていた姉と弟が枕を並べた。さらに続くことになる司法との闘いを覚悟しながら、カメラは2人の生活を記録し、対話を重ね、袴田さんの心の内面深くに迫っていく。
袴田さんの無実の訴えは裁判所、そして世間からも黙殺された。そんな過酷な状況下でも、リングに上がり拳ひとつで闘った遠い記憶は、生き抜くための支えとなっていた。やがて袴田さんは獄中で、自らを「神」と名乗り始める。釈放され、生きて歩く死刑囚―。その存在は、権力によって覆い隠されてきた「死刑」という刑罰の残酷さを、白日のもとにさらす。
釈放から10年の節目に完成する本作は、死刑囚のまま生きることを強いられた、袴田巖さんの闘いの軌跡だ。22年間にわたって袴田さんを追い続けてきた笠井監督は現在もカメラを回し続けている。そして、来たるべき再審判決(9月26日)の結末を見届け、いよいよ劇場公開される。
キービジュアルは、死刑囚という境遇を乗り越えて、生きて還ってきた袴田巖さんが背中で物語る後ろ姿が印象的なビジュアルとなっている。
映画『拳と祈り —袴田巖の生涯—』は、10月19日より全国順次公開。