池松壮亮、コロナ禍に出会った原作に惹かれ石井裕也監督に映画化直訴「これは私たち自身の問題」
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俳優の池松壮亮が10日、都内で行われた映画『本心』完成披露舞台あいさつに、三吉彩花、水上恒司、妻夫木聡、田中裕子、石井裕也監督とともに登壇。池松は自身から本作の映画化を石井監督に熱望したことを明かした。
【写真】池松壮亮の母親役を演じた田中裕子も登場
『月』や『茜色に焼かれる』など、話題作を世に送り出し続けている石井裕也監督が、平野啓一郎の同名長編小説を映画化した本作。今からさらにデジタル化が進み、“リアル”と“ヴァーチャル”の境界が曖昧になった少し先の将来を舞台に、急逝した母の“本心”を知るためAIで母親を蘇らせる青年と、彼を取り巻く人間の“心”と“本質”に迫るヒューマンミステリー。
池松は、コロナ禍真っただ中の2020年夏に原作を読んだと明かすと、「コロナのことは書かれていませんでしたが、アフターコロナのことはすべて書かれているような気がしたんです。これは私たち自身の問題だなと思った」と自分事として捉えたという。続けて池松は「あくまで個人的な問題を、みんなで作る映画にするのは良くないだろうなと思ったのですが、ダメ元で石井さんに提案しました」と企画の経緯を語る。
石井監督は「AIというモチーフがあるからこそ、重要なのは俳優の身体性。本心が芝居とどう関わるのかを含めて、信頼できる、心の底から出演していただきたい俳優にしか声をかけていません」とベストキャストで臨めたことを強調する。
そんな作品タイトルにちなみ「本心が言えなかった出来事」というお題でトークが進むと、池松は「韓国に行ったとき、サムゲタンを食べたいと有名なお店に連れていってもらったのですが、実は僕が食べたかった料理はサムゲタンじゃなかったことに気づいてしまい……。そのことを言えませんでした」と告白。同じ質問に妻夫木は「40歳を超えて、いま四十肩なんです。大っぴらに言うと『年なんだな』と思われるので言いたくないのですが、腕をあげると痛いんです」と苦笑いを浮かべていた。
また「本心が分かりづらかった人は?」という質問に池松は「みんな分からなかった。優れた俳優の方ほど、本心は見えないものなんです」と語ると「(母親役を務めた)田中さんに至っては、何も分かりませんでした」と発言し、会場を笑わせていた。
映画『本心』は、11月8日全国ロードショー。