KEY TO LIT・井上瑞稀ら、舞台『W3 ワンダースリー』出演者が“手塚世界と私”について語る!
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■彩吹真央/星兄弟の母・F6号役
宝塚歌劇で手塚先生の作品が初めて上演されたのが『ブラックジャック』と『火の鳥』で、そこに出演したのが私の芸歴の始まりでもありとてもご縁を感じます。また、宝塚を退団してからも『アドルフに告ぐ』という作品にも出演し、今回『W3』で4度目のご縁をいただけたことをありがたく思うと同時に、そのご縁を感じずにいられないという気持ちです。
皆さんの想像力が今まで以上に活性化されて、その世界に没頭して観ていただける作品になるのではないかなと思うので、一緒に宇宙の会議に参加したり、宇宙旅行をするのが楽しみだなという気持ちでお稽古をしています。今回、複数の役を演じられることは役者冥利に尽きますし、その違いをすごく楽しんでいるので、皆さんにも違いを楽しんでほしいです。この作品では大きな宇宙から見たちっぽけな地球を見ることができます。ちっぽけな地球の中のいち家族やいち青年が争うということの愚かさを改めて感じる一方で、壮大な宇宙から見た地球がどれだけ素晴らしいのかということをぜひ感じて欲しいです。
■成河/ランプ役
手塚作品に1番最初に触れた記憶は中学生だったと思います。中学校の図書館に唯一『火の鳥』のマンガが揃っていました。手塚作品は間口が広いので、すごく難しいことを優しく楽しく考える機会をいただけたと思っています。
僕が演じるランプは、戦争を繰り返してきた人類のネガティブな歴史を背負わされたような役どころです。今回はなぜそうなったのかという過去も描かれます。1人で背負い込んで真っ暗になっている人間に光を当てられるかどうかという兄弟の話で、お客様も含めて皆でどう光を与えられるかというお話になると思います。
どの層の方でもわくわくドキドキ興奮できるような、飽きさせない時間を送れると思いますので気軽に劇場に来ていただけたらと思います。
■湯本裕幸 /(株)手塚プロダクション ライセンス部 参与
『W3(ワンダースリー)』は60年前に描かれたものなので、本当はこの物語古いよね、こんな設定あり得ないよねと言えるほど世界が変わっていると良かったのですが、その当時と現代も変わっていないのが悲しいです。
今回の舞台『W3 ワンダースリー』の台本を読んで感じたのは、もっといじってくれて良かったのにという事(笑)。マンガに忠実に書いてくださっていると感じました。手塚自身も連載時、単行本などで、その時の流行りや言葉遣いなどの変化にあわせて出版する度に描き変えていたので、手塚が描きたかった本質さえ掴んでさえくだされば、現代の人達にわかるように書き替えていただく事は問題ないと思っています。
6年前はノンバーバルで上演して今回は台詞がありますし、ランプがマンガよりフューチャーされていて原作とは違って描かれていますが、本質を決して崩していない面白い物語です。アニメとマンガはラストが違っているのですが今回の舞台のラストも違います。これで『W3』は3種類のラストができた事になるのでとても楽しみにしています。