須賀健太が特別講師で参加 第48回ホリプロタレントスカウトキャラバン「THE ACTOR」レッスン型審査レポート!
三次審査は5日間にわたって、演技、歌、ムーブメントなど多角的なレッスンが行われた。中でも時間をかけているのが芝居稽古だ。松井周作の演劇部を舞台にした戯曲が使われ、登場人物は演劇部の大学生顧問、高校生部長、中学生部長、ダンス部の部員の4名。12名いる参加者は3グループに分かれて、本読み、パート稽古、ラストにはシェイクスピアの芝居シーンを入れるなど、さまざまな稽古を重ねてきた。
審査終盤の4日目には特別講師として須賀健太が参加。松井が「こんな機会は滅多にないので、須賀さんに芝居に入ってもらいましょう」と言うと、参加者たちから驚きの声が上がった。芝居稽古を当日見たくらいで、台本は全くの初見。前日が出演していたホリプロ製作のミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』の千穐楽だったという須賀は「失敗できないなぁ」と苦笑いしつつ、舞台に上がった。
須賀は最初に顧問役を演じた。部員が入ってくる場面では、須賀は自ら立って椅子を引き、「ここに」と誘った。そんな動き一つが自然で自由。松井も、「こういうやり方もあるよね」と感心しきりだ。終わった後、松井に顧問役がどんな人物かを聞かれて、須賀は「面倒なことや争いごとは嫌い。部員に対する関心もさほどなく、波風が立たないことが一番。問題が起きてから、ちゃんとやってますよ感を出し始めた感じ」と、具体的かつ独自性あふれる解釈を展開した。
松井は「じゃあ次は部員に圧をかける感じで」とリクエスト。須賀の台詞回しがシャープになり、親みやすさが消えて部員たちと壁のある雰囲気に。その空気のせいか、部員たちも怒る場面ではヒートアップ。芝居全体に緊張感が増した。
松井が須賀に何を大事にしているかを聞くと、須賀は「相手の目を見ること」と答えた。「芝居を通して、相手をどれだけ知ることができるか。相手のリアクションを見て、この人はこう考えているのかな?と探るのが面白いんです」。一緒にやってみた参加者たちは口々に「凄すぎます…」とただただ圧倒されている。
次に須賀は違う参加者たちのグループで、一番年下の演劇部員を演じた。「こういう役、好き!」とやる気満々の須賀。無邪気さと今時のドライさを押し出し、笑ったり怒ったり、時にはアドリブも入れて、振り幅の大きい後輩役を自在に表した。先輩役はそのノリに反応して、涙声になるところも。逆に顧問役が大人の落ち着きで芝居を締めていたのにも驚いた。
面白かったのが、先ほど須賀が言った「相手の目を見る」が参加者たちに浸透していたこと。こうしてスポンジのようにみるみる吸収していく素直さが眩しい。
「今回は怒りを全部受けることを大事にしました。芯の強い人なら動揺しないかもしれないけど、この役の子は怒りをピュアに受け取って、即、沸点が上がる。あと後輩感も大事に」と須賀。松井に参加者たちへのアドバイスを求められ、須賀は「知らない人がたくさんいる前で、突然泣いたり叫んだり、演技するのは本当に大変なこと。それだけのエネルギーを自分に蓄えておくことが必要です。また自分でプランを考えてきても、相手役によって演技は変わるものだから、捨てることも大切。相手が何を言い、自分の台詞が相手に何を届けられるのか。そこを意識すると世界が広がると思います」。
この後、参加者同士で芝居するのを見て、須賀が「この時はどんな気持ち?」「この人の目的は?」と質問を投げかけ、一人ひとりに細かくアドバイス。それを聞いていると、芝居とは人と人の心の交流なんだなと改めて実感した。参加者たちがその感覚を掴み、芝居に目覚める日はそう遠くないだろう。
「ホリプロタレントスカウトキャラバン」としては異色とも言える5日間のレッスンの三次審査を経て、10月18日に行われる本選に進出する7名の参加者が決定した。この中から、いかなる才能が開花するのか。その日を心待ちにしている。
(取材・文:三浦真紀)
