HIV感染者の血液で印刷した雑誌がオーストリアで販売

オーストリアのライフスタイル雑誌「Vangardist」が、HIVへの認知向上のため最新号のインクにHIV感染者3名から採取した血を混ぜ印刷。現在、その号は約3000部を発行している。
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同誌のCEO兼編集長ジュリアン・ウィール氏はMicに対し、「過去10年間、ヨーロッパとアジアで感染者数は増大している」と語る。「HIV予防・撲滅に関する情報発信が昨今メディアからなくなっていることが信じられない。人々が気を緩め過ぎているなかで、声を上げたかった」。
様々な誤った認識、“HIV/AIDSが“ゲイの病気”である、軽い接触で感染してしまうという”を覆すため、血液を使用した3名の内訳は、夫から感染した中年の女性、ストレートの老年男性、そしてゲイの青年だ。ABC Newsによると、オーストリアのインスブルック大学で血液が採取され、殺菌しより安全性を高めた上で使用されたとのことだ。
「血液は印刷用のインクに混ぜられている。この雑誌を見たら、手に取ろうか考えるはず。自分自身の中にある恐れと向き合うことになる」。
ヨーロッパでは新薬により死者数こそ減ってはいるものの、ウィール氏は、無関心はまだ根強いと話す。現時点での同誌への反応は「様々」で、多くの人が誤った認識でこのプロジェクトは安全ではないと考えているという。中には、ウィール氏に対し「殺人未遂」の罪を訴えた人もいるという。なお、同号はデジタル版も発行されている。