中国で同性愛者を“治療する”ニセ療法が蔓延 活動家がドキュメンタリー撮影

同性愛への賛同が世界で広がる中、未だにそれらを“治療できる”と謳ったニセ療法が、中国で蔓延しているという。実態を探るべく、活動家チームが撮影したショート・ドキュメンタリーが波紋を呼んでいる。
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the guardianによると、かつて中国では同性愛は違法であったが、1997年より合法化され、2001年には中華人民共和国衛生部の“精神疾患リスト”から除外された。よって、同性愛を治療するという行為は違法になったにもかかわらず、いくつかの病院で未だに痛みを伴うニセの“医療行為”が行われているようだ。
イギリスの公共テレビ局Chnnel4の「Unreported World(報道されることのない世界)」で紹介されたショート・ドキュメンタリーでは、男性撮影者が実際に違法治療を施している病院に潜入。「男性に興味がある」と話す同撮影者に対し、女医が吐き気を伴う薬、電気ショックでの治療を推薦し、実際の治療場面では背中や頭から強い電流を流し、あまりの痛さに男性がうめき声をあげる姿も収められている。彼はこの後、中国の平均月収の2倍である3500人民元を請求されたという。
LGBTの活動家である男性のシェン氏は、the guardianのインタビューで、「親たちは子供がゲイであることを認めたくないし、孫を持てなくなることを心配します。私が同性愛者であることを両親に話した時は『まず病院へ行って検査しなさい』と言われました。『もう行ったよ』としか答えようがありませんでした」と話している。実際に親に同性愛を治療するため病院に送られる人も多くいるようだ。
さらに、国家もLGBTの活動家を煙たく思っているようで、映像を作成している間も警察が事務所まで偵察に訪れたと映像内で語っている。ナレーションでは、中国での同性愛は違法ではないにしても認められるまでにはまだ長い道のりがある、と説明。男性は最後に「僕がどんな思いを経験してきたか、(映像を通して)家族とシェアしたいのです」とコメントしている。