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国内外で人気の「ヘボコン」に遭遇!“技術力の世の中”でそのディープさに触れてみた

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東京デザインウィーク会場で行われた「ヘボコン」の様子
東京デザインウィーク会場で行われた「ヘボコン」の様子 クランクイン!

 現在開催されているTOKYO DESIGN WEEK。言わずと知れたクリエイティブの祭典で、デザイン・アート・ミュージック・ファッションなど、最先端を体験できるイベントとして連日賑わいを見せている。そんなおしゃれ人種が集う祭典の中、ひときわ“異質”な集団を筆者は発見してしまった…。その正体は「ヘボコン」関連の人たち。その度肝を抜いた面白さをレポートしたいと思う。

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 そもそも「ヘボコン」とは、“ヘボいロボコン”を指す。情けないロボたちの姿や、ぐだぐだな雰囲気が人気を博し、日本全国はおろか今や海外でも開催されるようになっているイベントだという。調べたところによると、1年ぶりの東京開催とのことで今回は貴重な機会に遭遇した。

 会場にはヘボコンらの姿を一目見ようと、老若男女がわらわらと集まり、和やかな雰囲気の中楽しんでおり、早速、展示されているヘボコンを端から観察してみた。名前でハリボテと謳ってしまっている『ハリボテエレジー』、羽生結弦選手に着想を得たらしい『ユズルロボ』、焼酎の大五郎にプロペラをつけた『ぐるぐる公園』など、ネーミングだけでノックダウン寸前。岡本太郎氏の「芸術は爆発だ」の6文字が、脳内を往復する。

 会場にあった大会出場事項には「技術力の低い皆さんが作ったロボットはすぐに壊れます。戦う前に、会場までの輸送で壊れます」などという驚愕の一文が。聞けば、前回の大会では出場ロボを電車に忘れてきた強者もいたというし、今回の大会でも審査員の1人が遅刻で未着のまま大会が始まり、そしてそれを誰も気にしない(!)というありさま。いちいちうろたえている自分が、ちっぽけな人間に感じる…。
 
 しゃがんでヘボコンらしきものをいじっている男性の姿があったので、強行インタビューを試みた。「今何しているんですか?」と尋ねると「あっ、えっと、今仕上げています」という返事。出場数分前で未完成って…(白目)!さらに聞けば、「僕は出場者ではなく、子どもたちがこれをほぼ作ったんですよ」とやや誇らしげに言う。お子さんをご紹介いただいたが、実にかわいらしいお嬢さん。完成途中のヘボコンを持ち上げにっこりと微笑んでくれた。子どもをも笑顔にさせる大会なのか、と何だかほっこりした気分に。

 さらに、その隣で「愛」という漢字が本体の3分の1を占めている物体を完成させようと、せっせと手を動かしていた松島さん(男性)にも直撃。かの渡辺淳一先生の『愛の流刑地』の文庫本も背負っているヘボコンだけに、どう考えてもテーマは愛なのだろうと想像するも、松島さんは「特にテーマはないんですけど…。あ、この本も読んでいないんです…」という斜め上すぎる回答にまたまた白目…!

 しかし、くじけずに大会の魅力を聞くと「今、ものづくりといえば技術力がものをいう世の中ですよね。ヘボいものがいいという見方や主旨が、とても素敵だと思っているんです」となんだか感動的なお言葉が飛び出した。そう、決まりがないようで決まりがある、ゆるすぎることを誰も怒らず責めない、誰もが笑顔になれる大会が何よりも魅力ということなのだ。ディープな世界にはじめは当惑したが、結果、非常に癒し度の高いイベントだった。(取材・文・写真:赤山恭子)

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