恋人が同性愛に目覚めたら…香港の鬼才が描く「男女の新しい愛の形」

おびただしい裸体が登場する作品群として知られる香港インディーズ界で奇才と呼ばれるスカッド(SCUD)監督の『ボヤージュ』に続く最新作『ユートピア』の日本公開が決定した。もしも、自分の恋人が突然、同性愛に目覚めてしまったら…といったテーマをもとに、男女の新しい愛のあり方を模索する意欲作だ。
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本作の主人公は大学生カップル。真面目な大学生のヒンズは、カトリック信者の彼女とは婚前交渉も我慢する付き合いを続けていた。しかし、このところ淫夢に悩まされている。裸の自分が仮面の男女にいたぶられているのだ。彼女からは、三島由紀夫の小説ばかり読んでいるからだと責められる。
そんなある日、自由奔放なゲイの教授・ミンが現れる。ミンは三島由紀夫を愛読するヒンズに興味を抱くようになり、ヒンズをあちこちへ誘い出し、一緒に出かけるうちに肉体関係を持ってしまう。しかし、それは香港では違法行為だった…。
主人公のヒンズを演じるのは、中国の映画やドラマで活躍している人気モデル出身のアドニス。アドニスにとって、本作は長編映画デビュー作であり、裸姿を惜しげもなく披露している。共演はジャッキー・チャオ、モウ・チン、フィオナ・ウォンら。
また、スカッド監督自身も敬愛している三島由紀夫、そしてライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、デレク・ジャーマンに捧げられている本作は、自伝的作品である『パーマネント・レジデンス』、ドラッグと愛を描いた『アンフェタミン』に続く「3部作・完結編のパイロット版」といわれており、今後のスカッド作品の新たなシリーズのスタートにもなっている。
映画『ユートピア』は2016年1月16日より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次公開。