西島秀俊主演『クリーピー』は薄気味悪い? 黒沢清監督が明かす最新作の見所
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撮影場所は、自然が身近に感じる東京郊外の住宅街。西島演じる高倉と東出が扮する野上が、一家3名が行方不明になった未解決事件の現場となった家に訪れた時、その事件で唯一生き残った早紀(川口)に出くわすというシーンだ。早紀の家は、電車が走る高架下のほど近く。家の前の広場は、不法投棄された粗大ごみが散らばっていたり、早紀の家はツタでデコレートされていたり、廃墟感を演出する工夫がされていた。
撮影するのは、家の前から立ち去ろうとする早紀を高倉が呼び止めるという場面。広場の前にレールを引き、移動ショットで撮影する。にこやかな表情を浮かべ、パワーあふれんばかりの様子で待っているのは、本日は2日目だという川口。黒沢監督曰く「川口さんはこれからが山場。たぶんいい感じになってくれると思います」。
西島と東出は、静かに本番を待っていた。撮影準備が整い、黒沢監督の「よーい、はい」でスタート。監督は暗幕をかけたモニター前で見守る。画角に電車を入れるために、電車が走る時間に併せて撮り直しをしたが、それでも3回目でOK。なんともスムーズに撮り終わる。
この日は、ドローンで真上からこの場所を撮る、空撮撮影も行われた。ドローンが空に飛んでいくと、強い風と、虫の音のような轟音が響き渡る。その様子を楽しそうに目で追う東出。近くいた西島は、役からまだ抜け出ていないような真面目な表情でドローンを見つめていた。ドローンを初めて見たという黒沢監督は。「不謹慎な言い方ですが、悪いこともできそうな。なんとも魅力のあるもの」と冗談を飛ばしながらも、撮影の様子を興味深そうに見ていた。