西島秀俊主演『クリーピー』は薄気味悪い? 黒沢清監督が明かす最新作の見所
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空撮後に撮ったのは、早紀の家の裏を高倉と野上が見回るというシーン。撮影場所は、トンボが大量に飛び交う空き地。追い払っても減らないトンボを監督自らも追い払い、その姿に西島が楽しそうな表情を浮かべながら見ていた。撮影は1発OKで終了。「撮影は滞ることはない」と監督が話すように、至って順調に撮影は進んでいった。
監督は本作を、「薄気味悪い」と表現する。「悪意のある存在と善意に満ちた日常とが激突と言いますが、触れ合う瞬間は、なんでもない善意だと思っていた日常の方が、“一瞬、あれ?”と思う薄気味悪さで包まれる。まだどうなるのかわかりませんが、じわじわと薄気味悪さを表現しようとは思っています」と話す。
ちなみにタイトルの“クリーピー”とは、「ぞっと身の毛がよだつ」「気味が悪い」と言う意味。黒沢監督の真骨頂とも言える“恐怖”を、監督の言葉を借りると「あの手この手」で描き出されるであろう本作。「複雑で長編な物語の中から映画として一番まとまりがいいものを抜き出した」と監督が話すように、原作とは一味違った作品が仕上がりそうだ。どんな映像美で恐怖をあぶり出し、どんな展開になるのか。完成が楽しみになる作品である。(取材・文:小竹亜紀)
映画『クリーピー』は、2016年6月全国ロードショー。