綿矢りさ原作『ひらいて』映画化決定&今秋公開 主演は山田杏奈
芥川賞作家の綿矢りさの小説『ひらいて』が、女優の山田杏奈を主演に迎えて映画化され、今秋公開されることが決定した。
【写真】目力に引き込まれる 山田杏奈、撮り下ろしインタビューフォト
高校生による禁断の三角関係を描き、人間の根源的な愛を問う『ひらいて』を映画化した本作。恐れを知らない女子高生の熱い恋心が、勢いあまり意中の彼の恋人にまで向けられる、エキセントリックでありながらも切実な純愛を描く作品だ。
主人公の女子高生・木村愛役を演じるのは、近年『ジオラマボーイ・パノラマガール』や『樹海村』など主演作が続々公開中で、熱い注目を集める若手女優の山田杏奈。本作では屈折した少女の恋心を、圧倒的な存在感と演技力で表現する。脚本・監督を務めるのは、『また一緒に寝ようね』でぴあフィルムフェスティバル2016映画ファン賞・審査員特別賞を受賞、オムニバス映画『21世紀の女の子』でも注目を集めた若干26歳の新進気鋭の監督・首藤凜。荒々しさと繊細さが共存する少女の姿を美しくもポップに描き、観る者を最初から最後まで引き込む青春エンタテイメント作品に仕上げている。
高校3年生の愛(山田)は、成績優秀、明るくて校内では人気者。そんな彼女は、同じクラスの「たとえ」に片思いをしている。彼はクラスでも目立たず、教室でもひっそりと過ごす地味なタイプの男子。だが寡黙さの中にある聡明さと、どことなく謎めいた影を持つたとえに、愛は高1の時からずっと惹かれていた。しかし、どこか人と関わりを持つことを避けているようなたとえに、愛はなかなか近づけずにいた。自分だけが彼の魅力を知っていると思っていた。
しかし、彼が学校で誰かからの手紙を大事そうに読んでいる姿を偶然見てしまった事で事態は一変する。愛はある夜、悪友たちと学校に忍び込み、その手紙を盗んでしまう。手紙の差出人は、糖尿病の持病を抱える陰気な少女・美雪。その時愛は、初めてふたりが密かに交際していることを知るのだった。学校内でも目立たない彼女の存在が突如たとえの彼女だと知り、熱い恋心が乱反射する。そして自らの気持ちを隠して美雪に近づいていく愛。そこから愛と美雪、たとえの絡み合った三角関係が始まるのだった…。
愛役の山田は「愛が自分と他人を壊しながら、もがきながら生きる姿が皆さんにどう映るかとても楽しみです。普段役と共に泣いて、共に喜ぶことを目標にしていますが、今回は愛という人とひたすら戦った撮影期間でした。私は彼女が嫌いですが、彼女を愛さずにはいられませんでした」と役柄への想いをコメント。
首藤監督は「綿矢りささんの『ひらいて』を初めて読んだ17歳の冬から、この映画を撮るために生きてきました。静かな戦いのような撮影期間、そうずっとあなたに会いたかったのだと思う瞬間が幾度もありました」と原作へのあふれる想いを明かし、「歪な彼女たちの青春でもって、世界にはこんなやり方が無数にあるのかもしれないと予感されるように、私の才能と熱の全てを使います」と語っている。
原作者の綿矢は「『ひらいて』は炎のように自分も周りも焼きつくしてしまう、激しい性格の女子高生が主人公で、映像にするとどんな風になるか想像もつきませんでした。でも脚本を読ませていただき、主人公の激しさのなかにある揺らぎや、人に出会って少しずつ変わってゆく様子が描かれていて、感動しました。首藤監督の作り上げられた映像作品を観るのが、とても楽しみです。主演の山田杏奈さんが主人公の体当たりの恋をどのように演じられるのかも、想像が膨らみます」と期待のコメントを寄せている。
映画『ひらいて』は今秋公開。