クリストファー・ノーランを支える<もう一人の天才>ジョナサン・ノーランとは
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俳優ヒュー・ジャックマンが主演する映画『レミニセンス』が、9月17日公開される。製作を手がけたのが、世界で最も有名な映画監督の一人クリストファー・ノーランを支えてきた<もう一人の天才>である弟のジョナサン・ノーランだ。
【写真】映画史を変えた『ダークナイト』の狂気&『インターステラー』のSF世界
●クリストファー・ノーランのブレーン的存在
昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外作品がなかなか劇場公開できなかった状況下で、9月18日の日本公開後3日間でのオープニング成績が4億円を突破し大ヒットを記録したのがクリストファー・ノーラン監督作品の『TENET テネット』。『メメント』(2000)、『ダークナイト』(2008)、『インセプション』(2010)、『インターステラー』(2014)など、これまでに数多くの革新的な作品を世に送り出してきたクリストファーは、世界で最も有名な映画監督の一人と言えるが、彼の目覚ましい活躍の裏には、弟であり、脚本家でもあるジョナサン・ノーランの存在が欠かせないだろう。
というのも、ジョナサンはクリストファーが監督を務め出世作ともなった『メメント』の原案を起案し、彼にとって人生最大の転機となるアイデアをもたらした人物でもあるからだ。さらに日本でも大ヒットを記録した『ダークナイト』『インターステラー』では脚本を務めるなど、まさに兄クリストファーの作品の根本を支えるブレーン的存在だ。
●『メメント』は米国立フィルムに「半永久的に保存する作品」として登録
『メメント』は時系列をシャッフルした複雑な構成かつ斬新な内容が話題を呼び、兄弟そろって第74回アカデミー賞脚本賞にノミネート。さらに同作は2017年に米文化の遺産として保存に値すると判断され、「文化的、歴史的、芸術的」に重要な映画として米国立フィルム登録簿に「半永久的に保存する作品」として登録。そして、『ダークナイト』ではリアルなスーパーヒーローと狂気に満ちたヴィラン・ジョーカー(ヒース・レジャー)による壮絶な闘いから「真の正義とは?」を観客に突きつけた。
また2014年に公開された『インターステラー』では、科学的な裏付けもされた“地球と宇宙の時間”の違いなど、理論物理学者のキップ・ソーンと数年にわたって練り上げたシナリオが、第41回サターン脚本賞を受賞するなど、兄にも劣ることのない確かな実力を発揮している。
●ドラマの世界でも活躍
ジョナサンの活躍の場は映画の世界のみにとどまることなく、SFクライムサスペンスドラマシリーズ『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』(2011~16)でも原案・脚本・製作総指揮を務め、『スタートレック』(2009)、『スター・ウォーズ/フォースの革命』(2015)のJ・J・エイブラムス監督とタッグを組んだ。
2016年からは再びJ・J・エイブラムスと『ウエストワールド』のドラマシリーズで製作総指揮を共に担当。さらにこの作品ではジョナサン・ノーランの妻であるリサ・ジョイも製作総指揮に名を連ねており、人間とアンドロイドの間に起こる重厚なSFドラマが展開されている。同作はエミー賞にノミネートされるなど高い評価を受けた。ジョナサンは名実ともに世界を代表する脚本家の一人と言えるだろう。
そして、ジョナサンが製作として携わり、妻のリサ・ジョイが監督を務めた『レミニセンス』が、いよいよ公開となる。
●『レミニセンス』の主人公は記憶潜入エージェント
本作は壮大なスケールで描かれた都市が海に沈み、世界が水に支配された近未来が舞台。人の記憶に《レミニセンス(記憶潜入)》する記憶潜入エージェントの主人公・ニック(ヒュー・ジャックマン)が“凶悪事件の鍵を握る女性メイを探す”というミッションを引き受けたことから“時間”を超えて物語が大きく動き出すことに。見る者を翻弄(ほんろう)し、欺き、衝撃を与えてきた『TENET テネット』『インセプション』の世界観を想起させるSF超大作だ。
映画『レミニセンス』は9月17日より全国公開。