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死刑になった夫の友人を名乗る男はいったい何者? 『白い牛のバラッド』本編映像

映画

 第71回ベルリン国際映画祭にて金熊賞と観客賞にノミネートされた映画『白い牛のバラッド』より、本編映像が解禁。夫を死刑でなくしたシングルマザーの主人公が、夫の友人を名乗る謎の男と出会う場面を収めている。

【動画】突然現れた謎の男はいったい何者? 『白い牛のバラッド』本編映像

 本作は、死刑執行数が世界2位となる国イランの懲罰的な法制度を背景に、シングルマザーの生きづらさ、理不尽に立ち向かう女性の姿を巧みに描き出した衝撃の冤罪サスペンス。

 テヘランの牛乳工場に勤めるミナ(マリヤム・モガッダム)は、夫のババクを殺人罪で死刑に処されたシングルマザー。刑の執行から1年が経とうとしている今も深い喪失感に囚われている彼女は、聴覚障害で口のきけない娘ビタの存在を心のよりどころにしていた。

 ある日、裁判所に呼び出されたミナは、別の人物が真犯人だと知らされショックのあまり泣き崩れる。理不尽な現実を受け入れられず、謝罪を求めて繰り返し裁判所に足を運ぶが、夫に死刑を宣告した担当判事に会うことさえ叶わなかった。するとミナのもとに夫の友人を名乗る中年男性レザ(アリレザ・サニファル)が訪ねてくる。ミナは親切な彼に心を開いていくが、ふたりを結びつける“ある秘密”には気づいていなかった…。

 今回解禁されたのは、夫を死刑でなくしたミナが、謎の男レザと出会う場面を収めた本編映像。ミナが玄関のドアを開けると、そこには眉間に皺を寄せた神妙な面持ちの男が。彼は言葉に詰まりながらもレザと名乗り、自分はミナの夫の古い友人で、生前の夫から借りたお金を返すために訪問したと語る。

 ミナはそんな話は初耳だと驚きつつも、レザを部屋へ招き入れる。彼は「あなたと結婚する前に親しく付き合いを。刑務所にも一度会いに行った」と夫との関係を説明し、「お子さんの前で話すべきじゃないな。すみません」とうつむきながら謝る。ミナが「(子どもは)耳が聞こえないんです」と言うと、レザは顔をあげ…。果たして“ある秘密”によって結び付けられたミナとレザの今後の展開は。2人の会話の後ろから聞こえてくる、街の喧騒やテレビから漏れる音などの生活音が、よりリアルな緊迫感を与える出会いの場面となっている。

 本国イランでは、2020年2月のファジル国際映画祭で3回上映されて以降、政府の検閲により劇場公開の許可が下りず、2年近く上映されていないという本作。近年は同じ死刑を扱いイランのタブーに切り込んだモハマド・ラスロフ監督作『悪は存在せず』が、第70回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞するなど世界中で高い評価を得たことが記憶に新しいが、本作のべタシュ・サナイハ監督とマリヤム・モガッダム監督も、ラスロフ監督と同様に身の危険を冒してチャレンジングな題材に挑んだ。

 監督と主演を務めたマリヤムは「イラン映画の特質のひとつは、社会的、人間的な問題に対して正直であることですが、検閲が存在するため、これを達成するのは容易ではありません」と、これまで数々の傑作を生み出してきたイラン映画界の特殊な状況を明かす。続けて「この目標を達成した映画は影響力を持つことができます。映画という窓を通して、世界の人々と孤立したイランの人々が互いを見ることができるからです」と本作に込めた想いを語っている。

 また本作のムビチケオンライン券が、本日1月14日より販売スタート。1週間限定でタイムセール価格の1300円で販売される。

 映画『白い牛のバラッド』は、2月18日より全国公開。

映画『白い牛のバラッド』本編映像

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