江本純子×鈴木みのり、マイノリティが安心して観られる作品を目指して──『真夜中に寂しくなったときに観たい演劇』
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(左から)鈴木みのり、江本純子
――語れる人を増やしていけば変わる可能性があると考えつつも、日本では課題が多いですが、今後の海外上演ではどう考えていますか?
江本:日本で上演する難しさは初演から実感しているので、まずロンドンでの上演を予定していますが、同性愛者の俳優は多いけど、作品や表現に対して保守的な面があるとも聞いています。どう見られるのかはわからないですが、可能な限り広げて届けていきたい。
鈴木:ニューヨークで上演の機会があってほしいですね。そしたらわたしも観に行きたい! 今年頭に上演された和田華子さんの和田企画『なる、ならない、なれない、ある』もそうですが、日本では、トランスあるあるに「笑っちゃいけない」というシス・ヘテロ観客のムードを感じたんですが、江本作品もニューヨークなら通じる、なんなら爆笑も起きる気がする。わたしは江本さんにはギャグセンにも惹かれているし、パワーと知性とユーモアを感じてるので!
江本:ニュージーランドのAuckland Prideでは、タカタープイと呼ばれる、マオリとしての文化的アイデンティティと性的・ジェンダーの多様性が交差する人たちの作品が見られるそうです。そうした複数のマイノリティ性を持つ人たちによる表現が、社会に必要なものとして扱われ、上演につながる回路がすでにある場所もある。そういう土壌を世界中でもっと探していきたいです。そこが実際にマイノリティが安心して楽しめる場所なのかは、行ってみないことにはわからないけれど。
(聞き手:河野桃子 写真:波場木えみり)
舞台芸術祭「秋の隕石2026東京」ジュンコエモト『真夜中に寂しくなったときに観たい演劇』は、10月16日~18日東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて上演。
【江本純子】
劇作家・演出家・俳優。2000年に劇団「毛皮族」を旗揚げ。女性俳優たちの身体を通じて過剰な演劇美学を貫いた毛皮族時代を経て、多様な支援のもと、マーケットにからめとられない創作の場と方法を模索してきた。近作『セクシードライバー』(2022)、映画『愛の茶番』(2024)では、演劇と映画、観客と作り手のあいだに立ち現れる境界と、その揺らぎを扱った。初監督映画『過激派オペラ』(2016)では女性同士の恋愛や若さを描くなど、レズビアン表象はこれまでも当然のように作品の中に息づかせてきた。『真夜中に寂しくなったときに観たい演劇』では、客体化されたレズビアン表象への抵抗を起点に、虚構の反復のなかで、レズビアンという性を生きる主体の更新と、その先にある可能性を探究している。
【鈴木みのり】
フェミニズム、クィア理論への関心から小説執筆や、映画、文学、美術について批評。「早稲田文学増刊号 家族」 (筑摩書房)、「すばる」2023年8月号で小説を発表。アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)2024年度ニューヨーク・フェローシップ(文学部門)を受賞し、2025年1月よりアメリカ・ニューヨークに半年滞在。第22回AAF戯曲賞(2022年度、主催:愛知県芸術劇場)審査員を担当。ラジオ出演にTBSラジオ『アフター6ジャンクション 2』、『荻上チキ Session』、NHK『ウチらと世界とエンタメと』など。近刊に『“テレビは見ない”というけれど』(共著/青弓社)、和田彩花と特集の編集を担当したフェミニズムマガジン「エトセトラ Vol.8」(特集 アイドル、労働、リップ)。
【公演概要】
舞台芸術祭「秋の隕石2026東京」 ジュンコエモト『真夜中に寂しくなったときに観たい演劇』via Tokyo Metropolitan Theatre
10月16日~18日:東京・東京芸術劇場 シアターイースト
◆作・演出・出演
江本純子
◆音楽
山中透
◆美術
南志保
【公式サイト】https://autumnmeteorite.jp/ja/2026/program/junkoemoto