【ONE PIECE FILM RED公開記念】『ワンピース』劇場版15作品の進化と歩みを振り返り!
オリジナル作品の長編時代後、東映アニメーションは原作で人気のエピソードを劇場公開向けに再編集する「エピソード・オブ」と銘打たれた作品を制作。選ばれたのは、シリーズ屈指の人気を誇る「アラバスタ編」とチョッパー加入の顛末(てんまつ)を描く「ドラム王国編」の2本。両エピソードとも、テレビアニメの総集編ではなく、脚本段階から新規に作り直されており、原作やテレビとは異なる設定や展開も含まれる。
例えば、トナカイで船医のチョッパーの加入を描く『ONE PIECE THE MOVIE エピソードオブチョッパー+(プラス) 冬に咲く、奇跡の桜』では、原作と異なり、考古学者のニコ・ロビンや、船大工のフランキーよりも後にチョッパーが仲間になる展開となっている。また、オリジナルキャラクターのムッシュールが敵役で登場するなど、パラレルワールドのような作りに。しかし、原作の重要な要素だったチョッパーとDr.ヒルルクの絆はしっかりと描いており、感動の名シーンは健在となっている。
(4)2009年~現在:原作者が映画制作に関わり始めた「FILM」時代
2009年から、『ONE PIECE』劇場版シリーズは大きな変ぼうを遂げる。この年公開の『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』は、原作者の尾田栄一郎が自らストーリーを書き下ろし、全体を監修する製作総指揮の立場に。内容も原作との関連性が強くなり、大作映画としての風格も漂うようになった。この「FILM」シリーズから、興行成績も大幅に記録を更新し始める。2012年の『ONE PIECE FILM Z』は、海賊殲滅(せんめつ)を企む元海軍大将・ゼットと麦わらの一味との壮絶な戦いが展開し、原作漫画に先がけて海軍を辞めた後の青雉ことクザンが登場するなど、原作との関わりも密に描かれ、興行収入68.7億円を記録。過去最高を大幅に更新した。
また、2019年テレビアニメ放送20周年を記念した『ONE PIECE STAMPEDE』は、原作者が総合プロデューサーではなく、監修という立場だったためか、「FILM」と銘打たれていないが、200名以上の懐かしのキャラクターが総登場。原作の名エピソードを彷彿とさせる台詞や展開などが随所に見られ、ファンにとってはたまらない内容になっている。
そして、劇場版15作目となった最新作『ONE PIECE FILM RED』は、尾田が再び総合プロデューサーとなった。原作が最終章に突入しシャンクスの活躍が期待されるなか、本劇場版も彼にまつわる内容が描かれる。果たして、どんな興奮が待ち受けているのか、映画館で確かめてほしい。(文:杉本穂高)
映画『ONE PIECE FILM RED』より (C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
『ONE PIECE FILM RED』は公開中。