【ONE PIECE FILM RED公開記念】『ワンピース』劇場版15作品の進化と歩みを振り返り!
今年で連載25周年を迎えた尾田栄一郎の漫画『ONE PIECE』。テレビアニメの放送も23周年を迎え、劇場版については6日から公開中の最新作『ONE PIECE FILM RED』で15作目となる。原作はついに最終章に突入し、ますます盛り上がる同作。今回の劇場版では、ゴムゴムの実を食べた主人公で麦わら海賊団の船長、モンキー・D・ルフィに麦わら帽子を託した海賊・シャンクスに関わるエピソードが描かれるため、ファンの注目も非常に大きくなっている。長い『ONE PIECE』の歴史の中で同作の劇場アニメも多彩な作品が生まれ、時代とともに進化・発展してきた。本稿では、そんな劇場版『ONE PIECE』の歴史と魅力を振り返ってみる。
【写真】ルフィに麦わら帽子を託した海賊・シャンクス
■4つの時代区分で分かれる劇場版『ONE PIECE』
20年以上のアニメ制作の中で日本アニメはどんどん進化したが、『ONE PIECE』の劇場版シリーズも時代に合わせて大きく進化していった。その進化の区分は、大きく以下の4つに分けられる。
(1)2000~2002年:東映アニメフェア時代の中編時代
(2)2003~2006年:オリジナルストーリーの長編時代
(3)2007~2008年:原作の人気エピソードを映画化する「エピソード・オブ」時代
(4)2009~現在:原作者の尾田栄一郎が映画制作に関わり始めた「FILM」時代
それぞれの時代は作風も大きく異なっており、その歩みを代表作とともに振り返ってみよう。
映画『ONE PIECE FILM RED』より (C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
(1)2000~2002年:東映アニメフェア時代の中編時代
東映アニメフェアとは、東映アニメーションが制作していたアニメ映画を数タイトルまとめて、春休みと夏休みに上映する上映形態のこと。この上映形態の歴史は古く、1967年から「東映まんがまつり」という名称で始まったが、1990年から同名称に変更され、2002年まで続いた。
『ONE PIECE』シリーズ最初の劇場版『ONE PIECE』は、2000年からこの一環で制作・公開された。上映時間は51分と短く、同時上映された『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(細田守監督作)は40分。2本合わせて1本の長編映画と同じくらいの長さになる。
本作が公開された時は、テレビシリーズに麦わら海賊団のコック・サンジが未登場だったため、一味の登場はルフィ、剣士で戦闘員のゾロ、航海士のナミ、狙撃手のウソップの4名のみ。以降、テレビアニメのストーリー進行に合わせて劇場版の登場人物も増加していく。
この時代の作品は気楽に楽しめる娯楽作が多く、コミカルな短編映画が同時上映されることもあった。2002年の『ONE PIECE 珍獣島のチョッパー王国』は、公開が日韓ワールドカップの開催年だったこともあり、短編映画『ワンピース 夢のサッカー王!』が同時上映された。これは、麦わらの一味がシリーズの悪役チームとサッカーで対決する内容で、原作者の尾田栄一郎が声の出演をしている貴重な作品だ。
(2)2003~2006年:オリジナルストーリーの長編時代
東映アニメフェアの興行成績が低迷し廃止された後、『ONE PIECE』は単独で長編映画が制作されるようになった。
この時期の劇場版シリーズは、個性豊かなオリジナルストーリーが描かれ、作り手の作家性が大きく発揮された異色の作品も誕生している。また、芸能人がゲスト出演する慣例が生まれたのもこの時期から。2004年の『ONE PIECE 呪われた聖剣』では、ゾロが中心のストーリーが展開し、続く2005年の『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』では、後にヒットメーカーとなる細田守監督の個性が発揮された、ホラーテイストでダークかつ悲劇的な展開が描かれるシリーズ屈指の異色作となっている。