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『チェンソーマン』アニメ化! 超極貧主人公のバトルに熱狂する理由を徹底解説

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■「食パンにジャムを塗る」生活のために戦う主人公


アニメ『チェンソーマン』場面写真(C)藤本タツキ/集英社・MAPPA
 本作の主人公デンジのユニークさは、その戦う動機だ。彼は、極貧生活から抜け出し「食パンにジャムを塗って食べる」といった普通の生活を夢見て、デビルハンターへの道を歩む。少年マンガの主人公としては異例の動機だが、この特異な主人公像が本作を非凡なものにしている。

 デンジは極貧だったがゆえに、女性ともまともに接したこともなかった。“胸を揉んでみたい”その一心で命がけで戦ってしまう。言うなればこの作品の主人公は、食い物と女のために戦うのだ。頭からチェンソーが飛び出す異形の姿も異色だが、戦いに身を投じるその動機が本作を面白くしている。

 だが、本作はそんなくだらない理由で命をかけるなんで馬鹿馬鹿しいとは全く思わせない。むしろ、ただ食パンにジャムを塗るだけ、女性と接するだけのことがデンジにとってはとても大きな夢だということを強い説得力を持って描いている。「俺は軽~い気持ちでデビルハンターなったけどよぉ、この生活続けるためだったら死んでもいいぜ」というデンジのセリフは、彼の境遇から生じる切実な想いを見事に言い表している。

 デンジは、貧富の格差が拡大し続ける時代を象徴するヒーローと言えるかもしれない。デンジのように極貧に苦しむ人間は実際に数多くいるが、顧みられることは少ない。貧しさに追い詰められ、誰にも助けてもらえなかった少年がのし上がってゆくその姿は、血なまぐさい描写の多さに反して、爽快感すら感じさせるのだ。

 原作は容赦ないバイオレンス描写もさることながら、詩情あふれる描写や複雑な内面をコマのつなぎで情感たっぷりに表現するなど、強烈なけれん味と深い感情表現が同居している。アニメ制作を担当するスタジオは『進撃の巨人 The Final Season』(NHK総合)や『呪術廻戦』(TBS系)など、ハイレベルなアニメを数多く製作してきたMAPPA。マンガ業界を騒然とさせた傑作がどんなアニメになるのか、3話以降も楽しみだ。(文:杉本穂高)

 アニメ『チェンソーマン』は、テレビ東京系にて毎週火曜24時放送。

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