『SLAM DUNK』みんな大好き名脇役「メガネ君」こと木暮公延の名シーンを振り返る
中学でバスケを始めた理由は、体力をつけるため。もともと好きだったわけではなく、同じタイミングで入部した赤木に対し、「バスケットってつまんないね」「バスケットってこんなにキツイの?」とこぼし、辞めようとした時期があった。それでも中学最後の試合では、涙を流し苦楽を共にした赤木に「バスケットが好きなんだ…」と打ち明ける。
高校でも、赤木と木暮はチームメイトに恵まれなかった。
ある日、赤木は部活をサボっていたチームメイトたちを見つけ激怒するが、「強要するなよ全国制覇なんて。お前とバスケやるの息苦しいよ」と打ち明けられる。湘北高校は“取り立てて何のとりえもないフツーの高校生が集まる”場所で、本気で全国制覇を目指す者などほとんどいない。チームメイトからの心無い言葉に複雑な面持ちの赤木だったが、体育館に戻ってみると、そこには1人でシュート練習する木暮の姿があった。
■湘北高校バスケ部の屋台骨・メガネ君
木暮はコツコツと努力を重ね、赤木とともに3年間、湘北高校バスケ部を支えてきた。天才ではなく、フツーの人。3人しかいない3年生の唯一のスタメン落ち。作中で語られることこそなかったものの、木暮の中でこのあたりの葛藤は当然あったのかもしれない。それでも、控えとしてベンチで声を張り上げ、チームメイトの成長と活躍を誰よりも喜び、信頼も厚い。そんな愛すべき“メガネ君”の姿に共感し、勇気付けられたフツーの人はたくさんいたのではないだろうか。
湘北の監督・安西先生は、インターハイ2回戦で当たった日本一の高校・山王戦の終盤、タイムアウトでメンバーが集まった際、桜木、宮城、三井、流川がチームにもたらしたものを伝えながら、こう締めている。「赤木君と木暮君がずっと支えてきた土台の上に、これだけのものが加わった。それが湘北だ」――。
■映画『THE FIRST SLAM DUNK』
12月3日公開の映画『THE FIRST SLAM DUNK』については、ストーリーの詳細は明かされていない。ファンの間では、テレビアニメ版でも描かれていない原作のクライマックス・山王戦が描かれるのではないかと噂されている。山王戦には、3年間、湘北バスケ部を支え続けたメガネ君の名言の数々が登場する。もし本当に山王戦がアニメ化されるのなら、ぜひメガネ君こと木暮の発する言葉の数々に注目してみてほしい。(文・村山耕平)