夏が来れば思い出す――昭和の“怖い話” 呪物に怪人、心霊スポットも
昭和の夏の風物詩といえば、お盆のテレビ怪奇特集。1973年7月末から8月にかけて、日本テレビ系列『お昼のワイドショー』で納涼企画「あなたの知らない世界」がスタート。初年度は「だれでも超能力者になれる」「幽霊は本当にいるのか」「日本のミステリーゾーン」と3つのトピックを各2週ずつ放送。大きな反響を集めて名物コーナーとなった。
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テレビ生放送中に起きた怪現象として語り草になっているのが「開眼した生首の掛け軸」だ。1976年8月20日、日テレ系列の『あなたのワイドショー』内で、青森県弘前市にある正伝寺所蔵の掛け軸にまつわる怪談を紹介。元々はNHK「みんなのうた」で知られる童謡「雪の音」を作詞した地元の詩人、蘭繁之が京都の古書店で入手したもので、保管した箪笥の中から唸り声がすると気味悪がって寄贈した品だという。
本番中のスタジオでレポーターを務める落語家の三笑亭夢八(初代・三笑亭夢丸)が不気味な由来を熱弁するなか、背後に写し出された掛け軸2本のうち、幕末に暗殺された侍の渡邊金三郎の断首図に異変が起きた。細密な筆遣いで描かれた死に顔、その閉じられていた瞼が開き、右側の黒目がカメラを睨むように動いたのだ。
この怪事に視聴者は大騒ぎ。同番組内で映像を再放送して検証が行われ、広く知られるようになった。結果として「掛け軸に大きな蠅がとまった」説で一件落着したが、怨霊が虫を操り、何らかのメッセージを送ったと考えることもできる…かも。