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愛され続ける『おいしい給食』を支えてきた歴代キャラクターたち<マニアが紹介する最重要人物>

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■最重要人物(2)どちらが給食をよりおいしく食べられるか――甘利田のライバルたち

 甘利田は「教師たるものこうあるべきだ」とか「大人はそんなことしない」など、型にはまった理屈をよく口にする。そんな甘利田の前に現れるのが、給食を極めんとするライバル生徒である。season1、season2では神野ゴウ(佐藤大志)が、season3では粒来ケン(田澤大粋)が、甘利田には予想もつかない食のアレンジを次々と見せつけ、躍動した。

 彼らのアイデアに驚嘆するたび、自分の型にはまった思い込みを反省する甘利田。もっとも、給食の範囲内で正当に食すことを極めんとする甘利田と、例え外的要素を使用してでも、いかにおいしく食べられるかを自由に試す彼らとでは、給食道において別々の道を歩んでいると言っても過言ではない。それでも、無邪気な瞳でアレンジメニューをドヤ顔でアピールされると、甘利田の心はかき乱されずにはいられない。「うまそげじゃないかあ!」「うますぎるに決まってるだろコノヤロー!」と叫び、暴れ、自由な発想で給食道を謳歌する相手を前に「今日も負けた…」と倒れ込む。

映画『おいしい給食 炎の修学旅行』場面写真 (C)2025「おいしい給食」製作委員会
 配膳室からタルタルソースをこっそり持ち出し揚げ物にかけたり、教室のストーブで勝手にパンを焼いたりする彼らに、甘利田は教師として厳しい言葉を投げかける。それでも「給食は、もっと自由でいいと思います」(神野ゴウ)という真っすぐな言葉には、心を揺さぶられる。給食を前に教師と生徒という立場はなくなり、給食道を極める対等な同志としての絆を感じ始める。「大人だから」という型にとらわれていたことに気づき、相手の努力を素直に認められる甘利田は、実はかなり柔軟な心の持ち主である。

 それを象徴するのが、season1の最終回だ。給食に初めて米飯が出るという待ちに待った日に、別の中学校に米飯が配達されてしまうという事件が起こる。ゴウはその中学に駆け込んで誤配を伝え、米飯を本来の場所に戻してほしいと頼みこむ。しかし居合わせた教師のひとりは耳を貸さず、「よその生徒が授業を抜け出して何をしている」と恫喝し、ゴウの襟首をつかんで突き飛ばす。

 ゴウを追って駆けつけた甘利田は、手荒な真似をした教師に断固とした態度で、ゴウは間違ったことは言っていないと指摘。それに「だからって…」と反論する教師に、甘利田はいよいよ怒りを爆発させ「子どもの真剣な姿に触れた時、大人はたとえ相手が子どもであっても、負けを認めなければならない」と訴える。大人の間違いを正しに来たゴウに対して、体裁でごまかそうとした教師の態度を見過ごさなかった甘利田。真剣に給食の勝負に向き合うからこそ、潔く認められる「負け」。甘利田が生徒と心で向き合っている証がそこにある。

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■最重要人物(3)もうひとりの“ヒロイン”給食のおばさんと、愛すべき駄菓子屋のおばちゃん

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