愛され続ける『おいしい給食』を支えてきた歴代キャラクターたち<マニアが紹介する最重要人物>
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私は『おいしい給食』が好きだ。『おいしい給食』の取材をするために編集部にいると言っても過言ではない。だが編集者たるもの、一つの作品に肩入れしているなどとバレてはならない。だから心の奥底で、ただ『おいしい給食』を楽しむだけ……とはならず、同僚に『おいしい給食』新しい劇場版やるって!『おいしい給食』の予告面白すぎるんだけど!と聞かれてもないのに話題にして布教活動にいそしんでいるのが、私である。そんな『おい給』大好き編集部員が、『おいしい給食』の歴史の中でひときわ重要だと思った人物を紹介していきたいと思う。
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■最重要人物(1)甘利田幸男という人
『おいしい給食』の主人公は、給食を愛する教師だ。給食を食べるために学校に通っていると言っても過言ではないほど、毎日の給食を楽しみにし、行動にもだだ洩れているが、本人だけはそのことを悟られていないと思い込んでいる。
そんなちょっと風変わりな人物設定が一気に身近なものになるのが、なぜ給食が好きなのかを明かす彼のモノローグにある。
「私は給食が好きだ。給食のため学校に通っていると言っても過言ではない。なぜなら、母の作る料理がまずいからだ」。
最近のシリーズではあまり言われなくなってきたが、私の中では今でもこの一文が鮮明に残っている。ここで示された「母の料理がまずい」という事実よって、がぜん甘利田幸男という人の立体像が浮かび上がる。その後に続くモノローグによれば、「家族は母を傷つけないように“おいしい”と言って食べ、たまの出前のとき、父は泣いて喜ぶ」という。料理がまずいことを面と向かって指摘することはせず、まずくても母が作ってくれたご飯を家族みんなで食べ続けてきた姿が浮かんでくる。だからこそ甘利田にとって幼少期から最も充実した食事が給食だったということに、急にリアリティが増してくる。
映画『おいしい給食 炎の修学旅行』場面写真 (C)2025「おいしい給食」製作委員会
しかし、このドラマの趣旨はそこを深堀することではない。本作の楽しみは、甘利田が給食を好きすぎるあまり、食事中に飛び跳ねたり、独り言で絶叫したり、全身で派手なリアクションをする不可解な姿に爆笑し、ひいては甘利田を演じる市原隼人の振り切れぶりに脱帽することにある。
市原は甘利田という奇天烈な人物を、絶妙な塩梅でシリアスとコメディを使い分けて表現する。ポイントは「不格好だけど一生懸命」ではなく「一生懸命な結果が不格好」であることだ。好きなものの前で夢中になり、我を失う甘利田の姿に笑わされ、元気をもらう。給食に一喜一憂する姿からは、勇気さえもらっている。一生懸命の結果、例えかっこ悪くても、人々はその姿に心を動かされる。そんなことを教えてくれるのが、甘利田幸男という人である。

