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洋画の多国籍化は、業界活性化の起爆剤となるか

映画

『メトロ42』場面写真 
『メトロ42』場面写真 (C)LLC PRODUCTION COMPANY OF IGOR TOLSTUNOV , 2012

 2013年度の映画業界は、トータルの興行収入と入場人員が2012年度と大差なかったが、洋画の公開本数は約100本増え、興収は前年比114.2%と、邦画優勢の状況は相変わらずなものの、徐々に洋画が元気になりつつある。そんななか、洋画業界に新たな風が吹き込んできた。その風とは――?

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 本題に入る前に、まずは今の映画業界の現状を見ておきたい。80年代後半に始まったミニシアターブームは、低予算ながら個性的な作品、芸術性の高い作品などを公開し、セルDVD発売時に“恵比寿ガーデンシネマでロングラン”といったキャッチコピーを付ければ、映画ファンを中心にソフトが売れたというほど、影響力の強いものであった。だが、2000年代に入ったころから、ミニシアターブームに陰りが出始め、2011年には「恵比寿ガーデンシネマ」「シネセゾン渋谷」、2012年には「シアターN渋谷」、2013年には「銀座シネパトス」「銀座テアトルシネマ」など、ブームを牽引してきた劇場が相次いで閉館し、今月末には「吉祥寺バウスシアター」が30年の歴史に幕を閉じる。

 そう、今や映画はシネコンの時代。最新鋭の設備を完備し、快適な映像体験を約束してくれる。だが、シネコンは大手配給会社から配給を受けた作品を上映することが大半で、良く悪くも横並び状態。だからこそ、シネコン各社は独自性を出そうと、様々な企画上映を行ってみたり、劇場を利用したイベントを提案してみたりと、面白いことになってきている。なかでも、映画ファンにとってうれしいのが、ミニシアター系でしか上映されなかった作品が、シネコンでもかかるようになったこと。さらに、それら作品が、フランス、イタリア、ドイツ、アメリカ等の定番国ではなく、かなりの多国籍ぶりだ。

 5月公開だけを見ても、『メトロ42』はロシア、『ラスト・ワールド』はインドネシアとアメリカ合作、『ワイルド・ルーザー』はスペイン、『マンデラ 自由への長い道』は南アフリカとイギリス合作といった具合に、出てくる国の多いこと!

 そのような現状について、『メトロ42』の関係者は、こう話す。

 「様々な国の作品が公開されるのは、ハリウッド映画に新鮮味がなくなってきたからではないでしょうか。例えば、昨年もインド映画が好調だったように、アメリカ以外でも面白い作品がまだまだあると、お客さんも認識されてきているのだと思います」

 また、別の関係者は、こう口にする。

 「ミニシアターの閉館で個性的な作品を観れる機会が減り、そういう作品に興味を持つ人も少なくなってきています。とはいえ、ゼロではなく、一定の需要はあり、面白い作品を発見して、呟いたり投稿したりと、自分から発信したいという人が増えている。また、洋画の買い付けは2000年に入って高くなったものの、映画が開拓されていない国から買い付ける、日本だけ売れていない作品を買う、欧州系の映画には相当の熱意を見せるなど、やり方次第で安く買えます。それもあって、様々な国の映画が増えてきているのでしょう」。

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