『ハイキック・エンジェルス』に『女子ーズ』と、ガールズアクション花盛りのワケ

片手間で世界征服を企む怪人と戦う女子5人を主人公にした特撮コメディ『女子ーズ』、女子高生の本格アクションが炸裂する『ハイキック・エンジェルス』(6月14日公開)等、『女子ーズ』はアクション少なめとはいえ、ガールズアクション映画が目立ち始めている。なぜなのか――その背景や、ガールズ・アクションへの思いなどを、『ハイキック・エンジェルス』の原案・脚本・プロデューサーを務める西冬彦氏に聞いた。
【関連】桐谷美玲、戦隊ヒーローで新たな一面が開花<インタビュー写真>
「男が弱くなり、草食系男子が増えた今、何事にもチャレンジしようと貪欲に働きかけるのは女性です。強い男はもう古い、時代が強い女性を求めています」と、西氏は女性主人公のアクション映画が増えている理由を、ズバリ口にする。しかし、一方ではこうも話す。「映画100年の歴史のなで、女性に向けて作られたアクション映画は皆無に等しいと思います。また、女性が主人公でも、構え方や戦い方のすべてが、ブルースリーやジャッキー・チェンのコピーであり、男性客向けのものでした」。
これは、世界中を回って映画を買い付けてきた元映画バイヤーの西氏ゆえ、言えることだろう。だからこそ、「世界から映画を買うだけではなく、世界中が求める映画を日本から出したい!」と、西氏は燃えている。
「そのためには、俳優や女優が1ヵ月程度練習したアクションだと、絶対に世界が求めるものにはなりません。なぜなら、世界各国の俳優女優、誰でもできてしまうから。彼らが真似できないアクションを実現するためには、特殊な身体能力と技術が必要です。さらに、格闘技に限らず、何かの競技を10年以上経験しているほうがいいでしょう。そのうえで、4ヵ月~1年のアクション稽古が必要です。これは、世界を驚かせるための必須条件だと考えています」。
聞けば、『ハイキック・エンジェルス』に出演する宮原華音、川本まゆ、青野楓は空手歴10年以上、長島弘奈はバレエ歴16年を誇るのだとか。
「もちろん、宮原が空手の全日本チャンピオンであるだけでなく、元々陸上部だったという、走り方の美しさや天性の運動神経が、幅広いアクションを可能にしてくれました。アクション映画で一番難しいのが、“カッコよく走る”ということ。女優でちゃんと走れる人はほとんどいませんが、宮原の走り方は本当に素晴らしい。それだけでも主役をはる価値は十分」。