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米ドラマ業界に異変? ハル・ベリー主演作、7月放送に隠れた放送局の思惑

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スピルバーグ×ハル・ベリーがタッグを組んだ大作ドラマ、異例の7月放送の理由とは?
スピルバーグ×ハル・ベリーがタッグを組んだ大作ドラマ、異例の7月放送の理由とは?(C) AFLO

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スティーヴン・スピルバーグ

 ハル・ベリー主演のテレビドラマ『EXTANT(原題)』の放映がメジャー局CBSで始まった。SFスリラーで、エクゼクティブ・プロデューサーを務めるのは、スティーヴン・スピルバーグ。キャストには、真田広之も名を連ねる。

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 テレビのクオリティが上がっている昨今、有名な映画俳優がテレビに出ることも珍しくはなくなったものの、映画のほうがテレビより上という観念が完全に消えてはいない中、オスカー女優のハルがテレビへのレギュラー出演を決めたというのは、注目点だ。しかし、それ以外に、番組の開始時期もまた、ちょっとした話題を提供している。

 基本的に年4回のクールがある日本と違い、アメリカのメジャー局は、番組のシーズンを秋(9月半ば~10月)に始めて、春(4月~5月初め)に終わらせるのが通例だった。学校が夏休みに入り、旅行に出る人が増える5月末から9月頭にかけては、ゴールデンタイムにも平気で再放送がかかる。ドラマよりずっとコストが安いリアリティ番組という選択肢が出てきた近年は、その期間も再放送だらけということはなくなってきたが、自信の新ドラマは、9月のエミー賞が終わってから放映スタートとなるのが常識だ。

 しかし、1話あたりの予算が400万ドルと推測される『EXTANT』は、あえて7月にデビューした。その背後には、近年、ケーブルチャンネルがオリジナルドラマ製作に乗り出し、視聴者の支持を集めているという状況がある。

 近年、エミー賞で大健闘したり、視聴者からも批評家から絶賛を受けた『MAD MEN マッドメン』『ブレイキング・バッド』『ゲーム・オブ・スローンズ』などは、すべてケーブルチャンネルの番組。ケーブル局は、メジャーが閑散期に入る時期をあえて狙って新シーズンを始めることが多く、メジャー局は、その間、視聴者がケーブル局のドラマに没頭するのを、指をくわえて眺め続けてきた。

 そんな中、メジャー局CBSは、ついに昨年、スティーブン・キングの小説を原作にした『アンダー・ザ・ドーム』を夏に放映開始。視聴率は好調で、『EXTANT』も、『アンダー・ザ・ドーム』と同じくらいの視聴者を稼ぐことを狙っている。またライバル局NBCは、ジョン・マルコヴィッチ主演の『Crossbones(原題)』を、またFOXは『24 TWENTY FOUR』の新シリーズ『24: Live Another Day(原題)』をそれぞれ5月に放映開始した。

 ネットでいつでも娯楽を楽しめることに慣れた現代人にとって、そもそも従来のテレビのシーズンは、とっくに時代遅れだったと言っていい。今になって、ようやく、メジャー局は、視聴者に追いつこうとしているのだ。(文:猿渡由紀)

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