ハッカーから公開中止を要求、問題の映画『The Interview』実際どんな内容なのか?

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クリスマスの北米公開が予定されている『The Interview(原題)』をめぐる騒動が、ますます激化している。先月末、ソニー・ピクチャーズのコンピュータシステムがハッカーの被害に遭った時から、映画に反感をもつ北朝鮮の仕業かと疑われていたが、今週月曜日、ついにハッカーたちは公開中止をはっきりと要求してきたのだ。『映画の公開をただちにやめるように。でなければ平和が絶たれ、戦争が始まるだろう』と、ハッカーは警告のメッセージをウェブサイトで流している。
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『The Interview』は、セス・ローゲンとジェームズ・フランコが主演するコメディ映画。ローゲンと、幼なじみで仕事上のパートナーであるエヴァン・ゴールドバーグが、共同監督、共同執筆をした。
薄っぺらいトーク番組をホストするデイヴ・スカイラーク(フランコ)と、番組のプロデューサーであるアーロン・ラパポート(ローゲン)は、重要人物との独占インタビューを実現させることで、尊敬の目で見られるようになりたいと願っている。そんな時、なんと北朝鮮の最高指導者、金正恩をインタビューできるチャンスが訪れた。金正恩は、デイヴの番組のファンだと言うのである。しかし、これはまたCIAにとっても、またとないチャンス。ふたりはCIAに金正恩を殺してくるように命令されるが、会ってみると、金正恩とデイヴはすぐに仲良くなり、一緒にケイティ・ペリーの歌を歌ったり、スポーツをしたり、打ち明け話をしあったりするようになる。一方でアーロンは、金正恩の下で働く有力な女性の部下と恋に落ちてしまうのだ。
実在する一国のトップを暗殺するというアイデアは過激に聞こえるかもしれないが、映画は現実離れしたばかばかしい笑いが満載で、あくまでファンタジー。また、独裁者を笑いのネタにはしても、北朝鮮国民を笑うことはなく、アメリカ人の世界に対する無知さも、同じくらいジョークの対象にしている。だが、北朝鮮の政府にとっては、もちろんそんなことは関係ない。
北朝鮮からの警告は早くからあったが、初めて受けた時、ローゲンとゴールドバーグは、むしろ『エキサイティングだ』と歓迎したという。これらのニュースが映画の宣伝になるのもたしかで、『ボラット』でさまざまな論議をかもしだしたサシャ・バロン・コーエンは、ローゲンに祝福の電話をかけたそうだ。先週末の『サタデー・ナイト・ライブ』で、ローゲンとフランコは、自らこのハッキング事件をジョークのネタにもしている。
それでも、被害を被っているソニーの社員たちの不安はぬぐえない。最近、ソニー・ピクチャーズの代表マイケル・リントンは、全社員にメールを送り、FBIが熱心に捜査を進めていることを伝えた。公開日までの約2週間を、内部の人々はどのように乗り切るのだろうか。(文:猿渡由紀)