お正月映画に客層の変化? 映画興行界の変遷を探る

『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』が、公開からわずか2日間で興行収入16億円を突破。東宝の新記録を樹立したというニュースが駆け巡った。シネコン関係者も「劇場は家族連れで大いににぎわっています。新しい定番シリーズの誕生かと、興行界も盛り上がっています」とニッコリ。お正月興行にも『妖怪ウォッチ』が旋風を巻き起こしそうだが、今、お正月映画の現場ではどのような客層の変化が起きているのか。関係者に話を聞いた。
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「『妖怪ウォッチ』の今後の伸びにもよりますが、正月興行も子ども向けの大ヒットアニメが定番になりそうな気がしますね。劇場の客層も家族連れが目立ちます」と映画関係者。さらには、帰省した先で映画を見るという人もいるため、「3世代での来場も目立つ」のだとか。
昭和のお正月映画の定番であり続けた『男はつらいよ』シリーズ。またかつては、洋画の大作もお正月興行として数多く公開されていたが、「お正月映画として公開される、洋画の超大作は減ったように思います」(映画関係者)という意見も。大人層や学生、高齢者向けの映画が中心だったのに対してある変化が起きているようだが、ここ数年の正月興行を語る上でのキーワードには、“家族連れ映画への集中”が挙げられるという。
「やはり、シネコンの普及が大きな要因だと感じます。1990年代以降、シネコンが郊外に続々と建設されるようになり、そんな中、スタジオジブリの『千と千尋の神隠し』(01)が夏興行として驚異的な記録を打ち立てました。すると各配給会社も、郊外だからこそ、家族連れや子ども向けに強い“シネコン”という存在を無視できなくなりますよね。その頃から変化が起きてきたのではないでしょうか」(映画関係者)。シネコンに足を運ぶ客層を踏まえ、ラインナップも大人向け映画の大作よりは、繁忙期には子ども向け映画へとシフトしていったとも言えそうだ。