アメリカも注目、ヨーロッパドラマの魅力と増加のワケ

日本で放送される海外ドラマの多くが、アメリカ制作のものだ。それゆえ、海外ドラマ=アメリカといったイメージを有している方も多いことだろう。だが最近、その流れが変わってきた。なかでも、大きいのが大ヒットシリーズ『SHERLOCK/シャーロック』を始めとするヨーロッパドラマの存在だ。なぜ今、ヨーロッパドラマが増加しているのだろうか。その背景を探った。
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まずは、日本における海外ドラマの変遷をざっと見ておきたい。1980年代を中心に、『名探偵ポワロ』『ミス・マープル』『シャーロック・ホームズの冒険』『Mr.ビーン』など、日本でもヨーロッパドラマは放送されており、人気を博していた。だが、その後は『SEX AND THE CITY』や『フレンズ』『X‐FILE』『ER 緊急救命室』といったアメリカドラマが大ヒットし、社会現象を巻き起こすほどのドラマも誕生、“海外ドラマと言えばアメリカ”が定番化する。2000年に入ってからは、英米合作の『ROME/ローマ』、デンマークドラマ『THE KILLING/キリング』等、ヨーロッパドラマも話題になり始める。一方、アメリカ自体がヨーロッパドラマに目を向け出した。
「アメリカがヨーロッパドラマに注目し出したのは、ネタ不足というのもあるでしょうが、やはり、違うテイストのものが欲しいのだと思います。ヨーロッパドラマには、アメリカにはない暗さや、独特の人物像、気候などが、いい味となってドラマに漂っています。そこはアメリカのドラマでは出せません」。
また、メーカー関係者はこう話す。
「アメリカでは、多種多様な民族、およびアメリカ以外へのセールスも考慮する場合があるので、分かりやすい作品が多く、カルト的なもの、こだわった作品はケーブルが製作しています。その点、イギリスは、基本自国向けに製作するため、こだわった内容の濃いものが作られやすいです。また、アメリカのドラマは1作品に関わる脚本家が多く、話数も多い。イギリスのドラマは基本1作品に関わる脚本家は1人なので話数が少ないようです。そのぶん、アメリカドラマは世界観がよい意味で広がり、イギリスドラマはぶれずにストーリーが進行する、ということがあるでしょうか」。