『まれ』で存在感放つ清水富美加、化ける可能性を秘めた注目女優の魅力
清水は、実は福士蒼汰主演の『仮面ライダーフォーゼ』(11)でヒロインを演じていたが、すぐに同一人物とは気付かなかった。『フォーゼ』のヒロインは、躍動感たっぷりで、何かと影が薄くなりがちな特撮モノのヒロインのなかでは珍しく、ライダーを引っ張る存在感を放ち、マニアたちを唸らせた印象深いキャラだ。にもかかわらず、いま改めて画像を見ても、やはりあまりピンとこない。清水の魅力は、断然、動いているときだから。
まず声が特徴的で表情豊か。一子が何か言葉を発するたび、「ながら見」していても、ハッと顔をあげて見てしまう強さがある。そして、顔の表情の変化も豊かで、顔をクシャっとさせて笑う顔も、眉間にシワを寄せるしかめっ面も良い。しぐさ・動きにもやっぱり表情があって、すぐに目がいってしまう。これまで何度もヒロインを演じているが、真ん中にいるよりも、脇で存在感を放つ「主役食い」のほうが似合う気もする。
『まれ』では、モデル事務所のスカウトマンに声をかけられ、東京行きを決意するも、そのスカウトマンが詐欺容疑で逮捕され、それでもモデルの夢を諦めないという展開になっているが、今後どう化けるのか。
そして、物語上においての変身も楽しみだが、同時に役者としての「変身」も期待したい。
今はまだ明るく可愛い雰囲気だが、今後、「毒」を表現できたり、妖艶さ、女の「業」みたいなものを身につけたりしてきたら、蒼井優のような女優になる可能性もある気がする。薄顔+表情豊かな女優は、大きく化けるケースが多いから。もしかしたら『まれ』のいちばんの注目株は、一子になるかもしれない。(文:田幸和歌子)