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森田剛、舞台で花開いた希有な存在感 初映画主演『ヒメアノ~ル』で魅せる怪演

映画

森田剛、『ヒメアノ~ル』で魅せる怪演 蜷川幸雄さん・宮本亜門が評価する稀有な存在感
森田剛、『ヒメアノ~ル』で魅せる怪演 蜷川幸雄さん・宮本亜門が評価する稀有な存在感(C)2016「ヒメアノ~ル」製作委員会

 意外かもしれないが、映画『ヒメアノ~ル』(公開中)は、V6の森田剛がデビュー20周年にして初めて掴んだ記念すべき単独主演映画だ。ところが、その役がタダモノじゃない。人間が餌にしか見えない狂気の連続殺人鬼。冷酷きわまりない森田のうつろな表情には、寸分の優しさも、寸分の人間性も感じられない。蜷川幸雄さんや宮本亜門ら舞台の巨匠たちに愛された森田の希有な演技の、根源にあるものとは何なのか。

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 V6といえば、最年少の岡田准一がいち早く映画界で実績を作り、昨年は『永遠の0』『蜩ノ記』で第38回日本アカデミー賞最優秀主演男優&助演賞のダブル受賞を達成。その後も『図書館戦争』シリーズ、『エヴェレスト 神々の山嶺』『海賊と呼ばれた男』(12月10日公開)と主演作が続き、破竹の勢いを見せている。それに対して森田の才能は舞台で花開く。

 寺山修司が23歳で書き下ろした『血は立ったまま眠っている』では、演出を務めた蜷川自らが囲み取材において、「狙いを定めてオフォーを出したのは正解だった。ピュアで真面目で芯がしっかりしていて、セリフや声のコントロールもうまい」と主演に指名した森田を絶賛。さらに、森田の武器は“疎外感”だという蜷川は、「この現実社会の中に自分の居場所がない。あるフリをしても体が正直に“居場所がない”と言ってしまっている。それはすごく得難いキャラクター」と分析している。

 一方、舞台『金閣寺』で、生まれつきの吃音(きつおん)が原因で人とうまくコミュニケーションが取れない主人公・溝口役に抜擢した宮本は、「彼は人にどう見られるかを意識していない」というような発言をしており、だからこそ「舞台に存在している」と独特な宮本節で評価する。彼らの森田評を並べてみると、先日、取材した『ヒメアノ~ル』の共演者・ムロツヨシの言葉が心にズシリと響いてくる。「森田くんは、芝居で褒められることをあきらめている」…。

 舞台に立ち、あるいはカメラの前に立ち、与えられた役を “演じる”のではなく“生きる”こと。森田剛の強みは、現実世界には居場所がない俳優であることこそが人生の居場所だと、心のどこかで気付いているところかもしれない。蚊を殺すように人間をいとも簡単に絶命させる殺人鬼。目は怒りを超えて、死をさまよっている。『ヒメアノ~ル』で見せた森田は、紛れもなく主人公を生きている。隅々まで生きている。得体の知れないあの恐怖は、森田を通して、リアルを鮮烈に感じているからだ。この作品で、森田剛という俳優は、映画ファンの心にも根深く寄生することだろう。

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