メンバー卒業の末に見出した光 架空の“ハロプロ研修生”を生み出した男の話
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初めてのエントリーは2015年2月8日。第一声は「皆さんはじめまして!ハロプロ研修生になりました里中瑠美枝です」だった。念のため繰り返すが、里中は架空の研修生である。しかし、初野さんの心の中を舞台にまさしく今を“生きる”研修生のひとりである。
里中は「やめない研修生を作りたい」という思いから生まれたと話す初野さんだが、掘り下げると「もうひとつの人格により寂しさを癒やしたいのもあったし、研修生への憧れもあったんですよね」と心情を吐露してくれた。
プロフィールは徹底している。加入は2014年11月、現在、こぶしファクトリーの広瀬彩海や井上玲音、つばきファクトリーの浅倉樹々などと同時期の22期メンバー。好きな先輩、憧れのメンバーはBerryz工房の清水佐紀。特技はモノマネと耳を動かせるコトだという。
さらに初野さんは「ダンス経験はあるので踊りは得意だけど、歌割りはさほど多くないんです。研修生としては、キャリアの長い一岡伶奈、井上ひかる、加賀楓や段原瑠々に次ぐ2番手的なメンバー。今後の昇格、新グループへの加入が目標なので、頑張って欲しいですね」と、詳細を語ってくれた。
研修生を中心に、ハロプロを追いかけ続ける初野さん。今では「ハロプロは生活の一部だし、なくなるとつまらない」と率直な思いを告げる。加えて「残業代もチケット代やグッズ代に換算するんです」「働いたことでメンバーのためになると思えば、仕事もまったく辛くないんです」と明かしてくれた。
メンバーの脱退や卒業、グループの解散というのはアイドルファンにとっては“現実”に打ちひしがれる瞬間でもある。傷を癒やすのもたやすいことではないが、初野さんの生き方は、そのための“試金石”のようにも映る。(取材・文・写真:カネコシュウヘイ)