『となかぞ』『おっさんずラブ』眞島秀和、意味深な目ヂカラの魅力
さらにお茶の間でその顔を広く知られるようになった転機は、朝ドラ『ゲゲゲの女房』(2010年)。主人公・村井茂(向井理)の才能を発掘してくれた情熱的な漫画編集者・豊川悟を爽やかに演じ、話題を呼んだ。男ばかりのむさくるしい編集部で、ランニングが透けて見える白いワイシャツ姿に汗をにじませ、汗をにじませながら仕事する「デキる男」ぶりは、まるで「掃き溜めに鶴?」のようだった。極貧生活にある主人公の才能を発掘してくれ、育ててくれる頼もしい存在という役どころも加わって、「Yシャツ姿の白馬の王子様」のようでもあった。
かと思えば、「変人」「変態」など、危険な役もよく似合う。深夜ドラマ『変身インタビュアーの憂鬱』(2013年)では、町ぐるみで殺人を隠し続ける閉鎖された町の殺人犯を、変態度満点に怪演。長瀬智也『クロコーチ』(2013年)では裏組織の創設者を演じ、月9『失恋ショコラティエ』(2014年放送)では石原さとみ演じる小悪魔的美女・紗絵子のDV夫として話題を呼んだ。
昼ドラ『シンデレラデート』(2014年)などは、風変わりな恋愛ドラマだったが、ヒロインの不倫相手役でエキセントリックな展開を説得力十分に見せてくれた。ちなみに、『アリスの棘』(2014年)でヒロイン(上野樹里)の父で突然倒れ、手術の末に急死してしまう医師、『緊急取調室』でヒロイン(天海祐希)の亡き夫で正義感溢れる刑事など、薄幸な役も多数こなす。
役柄という衣装を着替えるように、一見スマートでクールに見える切れ長の目が、ときに優しく、時に怪しく、ときに情熱的にと、様々な色をまとう。その意味深な目ヂカラは、何かが起こりそうなワクワク感を与えてくれるのだ。(文:田幸和歌子)