『中学聖日記』岡田健史、“普通じゃない”魅力と連ドラ大抜てきの理由
■“天然記念物”のような純粋さ
以前、他媒体の雑誌のインタビューで岡田に取材をしたとき、驚いたのは、天然記念物のような純粋さだった。インタビュー中に背筋をピンと伸ばし、膝の上で軽く拳を握りしめ、キラキラの瞳で終始真っすぐ前を見て話す役者さんを、初めて見た。まるで卒業アルバムの集合写真のような真っすぐさとまぶしさだった。
もちろん緊張していることもあるのだろう。しかし、よく通る声で一言一言しっかり考えながら語るさまは、「野球少年」がそのまま大きくなったような硬派な印象だ。
しかも、高校の野球部の監督の部訓を今も大切にし、「気づき」を得るためにゴミ拾いをしているなどのエピソードも、まったく今どきの若者らしくなく、まったく「普通」じゃない。
今は「高身長のイケメン俳優」が量産されている時代。その流行のサイクルは予想以上に早く、次々に登場する新たなイケメンに世間の興味は移りがちだ。だからこそ、その中で生き残っていくのは難しく、非常にシビアな時代ともいえる。でも、岡田の場合、もちろん「超美形」ではあるのだが、いわゆる「ネクストブレイク枠のフレッシュなイケメン俳優」などとは佇まいからして、ちょっと違う。異質な「原石」感がある。
まだまだセリフにもたどたどしさがあるが、それがちょうど「大人と子どもの境目にあるアンバランスさ」に合致している。また、物語の中で晶が成長していくのとともに、岡田自身の俳優としての成長も見える。これは実はオーディションが主流で「新人の登竜門」として機能していた頃の朝ドラヒロインと同様の効果でもある。
13日放送分の第6話では18歳となり、中学生ではなくなった晶が登場するが、とびきりの「原石」がさらにどのように磨かれていくのか、注目したい。(文:田幸和歌子)