浜辺美波、今田美桜、橋本環奈……20代若手女優の“アンダー160cm”という共通点
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■求められるヒロイン像の変化
ではなぜ20歳前後の女優には小柄な女優が多いのか。
テレビドラマのメイン視聴者たちの高齢化により、主演は30代が務めることが中心となり、若手女優のメインの活躍の場が映画になっていること。しかも、映画では「壁ドン」系などの漫画実写化が多いことから、相手役となる男性の俳優たちと並んだときの“身長差”が理想的であることも一つの理由に挙げられるだろう。
さらに、注目したいのは、20代若手女優の芸能界入りのきっかけや時期である。
杉咲花は子役時代からの長いキャリアがあるし、浜辺美波は小学生の頃に「東宝シンデレラオーディション」のニュージェネレーション賞を受賞し芸能界入り。上白石萌音も、小1からミュージカルスクールに通い、中1のときに「東宝シンデレラオーディション」で審査員特別賞を受賞し芸能界入り。橋本環奈が世間に「見つかった」のはご存知の通り、地元・福岡のイベントにアイドルグループのメンバーとして参加したときの「奇跡の1枚」がきっかけだが、地元で芸能活動を始めたのは小学3年生の頃から。
また、今田美桜は16歳のときにスカウトでデビューしたとはいえ、初期は「福岡で1番可愛い女の子」をキャッチコピーに地元での活動をメインとしてきた。森七菜は中3のときに地元・大分でスカウトされ、すぐにWebCMのオーディションで選ばれて芸能活動をスタートしている。
30代の主演級女優では、榮倉、桐谷、北川らファッション誌「Seventeen」モデル出身が多いのに対し、20歳前後の若手女優の多くは、子役あるいは10代半ばくらいまでに芸能界入りし、さまざまな経験を積んだうえで、主役級に上り詰めたタイプが多い。
ドラマで描かれる主人公がキラキラ輝く憧れの存在だった時代には、周りから明らかに浮き立つスタイルの良さも求められた。それに対し、今は「ヒロイン至上主義」ではなく、脇のキャラ一人ひとりの物語が描かれる群像劇が増えているため、等身大で親近感のある女の子が求められるようになってきた面もあるだろう。
現在20歳前後で活躍をする若手女優が、成熟した女性となり、アラサーくらいの年齢になったとき、どんな作品・どんな役柄で新たな魅力を見せてくれるのか。その変化も含め、先々まで長く楽しみに見守っていきたい。(文:田幸和歌子)
<田幸和歌子>
1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムをさまざまな媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。