“いつまでも可愛い”ファンタジーを体現 深キョンは「女優版キティちゃん」!?
■どんな役もコスチュームもOKなフラットさ・プレーンさ
深キョンといえば、「東京ガス」CMのラムちゃんや、『ヤッターマン』のドロンジョ、さらに『ルパンの娘』で披露してきたボディスーツ姿や婦人警官、セーラー服姿など、「コスプレ」需要の高さも大きな特徴だ。これはおそらく「深キョン」という女優の本質的な部分でもある。なぜなら、どんなキャラ・どんなコスチュームもかぶることができるのは、個人としての主張や生身感、ニオイがないこと、フラットさ、プレーンさのせいだと思うからだ。
何年経っても丸さ・柔らかさを維持した「可愛さ」を持ちつつ、表情の変化は少なく、どんなモノでものっけることのできる汎用性の高さは、まるでキティちゃんのようだ。
そういえば、深キョンの出世作『神様、もう少しだけ』で演じていたヒロインは、サンリオのキャラ・マイメロディ好きの女子高生だったし、深キョン自身、キティちゃん好きとして知られていた時期があった。そうしたフラットさ、プレーンさに、エロスものっけているのだから、強いのは当然かもしれない。
自身が演じたい役や作品、なりたい役者像などに体当たりで挑むのではなく、表面上ではもがいたりあがいたりすることもなく、作り手や視聴者の望むものを何でものせられるよう、素材力をひたすら磨き、万全の状態で受け入れる深田恭子。
今は男女問わず、背景や思考を戦略的に見せるタレント・役者が多いなかで、「仕上がり具合」「成果品」のみであくまで勝負し続ける潔さは、プロ可愛いと言わざるを得ない。(文:田幸和歌子)
<田幸和歌子>
1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムをさまざまな媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。