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<秋ドラマ>江口のりこ、北村有起哉etc. 際立つ個性派・実力派の主演

ドラマ

関連 :

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北村有起哉

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■凄まじい支配力で初主演ドラマに立つ、北村有起哉

 映画『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』で組んだ藤井道人監督が企画プロデュースを務める『ムショぼけ』(ABCテレビにて毎週日曜23時55分/テレビ神奈川にて毎週火曜23時)で、連続ドラマ初主演を果たした北村有起哉。これまでにドラマ『トッカン 特別国税徴収官』『アンナチュラル』、朝ドラ『エール』などで見せつけてきた実力は折り紙付きだ。職業モノを演じることに長けている北村。役柄を思い浮かべると、同時に役の職業が浮かんでくるが、妻で女優の高野志穂と夫婦共演し、柔らかな空気を醸しているAmazonプライムのCMでの顔も好評である。


 『ムショぼけ』は3日からスタート済み。北村の支配力が凄まじく、なぜこれまでに連ドラ主演がなかったのかが全くもって不思議だ。本作では、14年間の刑期を終えてシャバ(一般社会)に出所してきた元ヤクザ・陣内を演じている。今年公開された『ヤクザと家族 The Family』から間を置かずのヤクザ役だが、まったく違う人物像を作り上げている。幻影として陣内を苦しめる刑務官を演じる板尾創路や、陣内のオカンに扮する吉本新喜劇の重鎮・末成映薫らとの相性もバッチリ。映画的な画づくりで強烈に映し出される、コメディもサイコもヒューマンドラマも混ざり合ったような、不思議な世界観の中心に北村がしっかり立っている。

■片桐はいりの唯一無二の存在感が羽ばたく島ドラマ

 意外なドラマ初主演といえば、ひと足早い9月からスタートした『東京放置食堂』(テレビ東京にて毎週水曜25時)の片桐はいりも、連続ドラマ初主演。今回取り上げた役者の中で一番年が上となる58歳の片桐だが、一度見たら忘れられない存在感と、他にない空気感で、実年齢はどうでもいいと思わせる唯一無二の個性派だ。


 太平洋に浮かぶ伊豆大島を舞台に繰り広げられる人間模様を描く本作で、片桐は、これまで多くの人を裁いてきた元裁判官の日出子を演じている。片桐と大自然というと、フィンランドが舞台の映画『かもめ食堂』が浮かぶが、黒い砂浜が印象的な大島は、まったく違う空気を放つ。

 東京本土からやってきた日出子を受け入れる、食堂「風待屋」を営む、工藤綾乃演じる渚とのバディぶりも心地良い。最初は、ぶっきらぼうな渚に、片桐がこちらの性格を演じても合うのではないかとも思ったが、正義感にあふれ、つい人の人生に口を出してしまう日出子は、片桐の語り口調だからこそ響くものがあると納得。映画的な質感と、島のロケ撮影を生かした大胆な引きのショットが印象的で、共に170センチ越えの片桐と工藤のバディがよく映える。1話完結ものだが、横軸となる日出子のストーリーがどう展開していくのか、今後が気になる。ちなみに『東京放置食堂』と『ムショぼけ』は、同じアベラヒデノブが監督を務めている。独特の画づくりにハマる人もいるだろう。

 芸達者な役者たちが導く世界へどっぷり身を任せられる、秋の夜長になりそうだ。(文・望月ふみ)

※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正しお詫び申し上げます。

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