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『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』決して人形なんかじゃない “変化の描写”から読み取れる主人公の感情

アニメ

■“裏腹”に見る言葉と感情の理解

 相反することを指す“裏腹”。人は気持ちと裏腹な言葉を口にすることがあると、ヴァイオレットは先輩のカトレアから教わる。その気持ちを察するのは難しいというヴァイオレットだったが、その後、徐々に“裏腹”を理解していく。覚えて間もない頃は、仕事で初めて指名され浮かれたアイリスが自動手記人形の品位を落とさないように釘を刺され「分かっています!」とムキになって返答したことに、「それは、本当は分かっていないという分かっている、ですね」と淡々と言葉にする。この時点ではまだ“裏腹”の意味を額面通りにしか受け止めておらず、いわゆる“空気を読めない”ようなことを言ってしまう。

 この“裏腹”について、彼女の理解度が劇的に変化したと思われる描写が10話に登場する。代筆の仕事で赴いたマグノリア家の1人娘アンに、ヴァイオレットがリボンを付けるシーンだ。その時ヴァイオレットは、「本当はお母さんにリボンを付けてもらいたいの」というアンの本音に、驚く様子もなく「はい」と返事をする。優しく寄り添うような返事は、母親と過ごしたいけれども我慢するアンの気持ち、そしてアンに構ってやることができない母親の気持ちを理解しており、すっかり“空気が読める”ようになっているように見える。

■“ない”のではなく“知らない”

 序盤は、とにかく必要な時に事実のみを淡々と話す印象が強いヴァイオレットだが、依頼人との出会いを経て、徐々に自分の気持ちを出すように。「素晴らしい仕事ぶりです」と称賛したり、「手紙をもらうということは、とてもうれしいことなのだと分かりました」などと、言葉で気持ちを表現するシーンが増えていく。

 また、アイリスの故郷で「大したもてなしはできないけど」と言われた時に、「根拠は判然としないのですが、この景色が、大したもてなしという言葉に、ふさわしい気がします」と返したり、アイリスの花に感銘を受ける様子も確認できる。リオンに「さびしい」という感情を教わりながら見せてもらった時は美しさに感動するが、『外伝』ではその夜空をテイラーに見せているようなシーンも。軍人の頃からギルベルトの瞳を「美しい」と表現したり、怒鳴られて涙を流す描写を見るに、もともと感情がない人形ではなく、その正体のほとんどがなんなのか知らなかった、と解釈したほうがしっくりくる。

 人がなぜ笑い、怒り、泣くのか。感情の機微を知ることでその正体も理解し、人間らしさを表現していくヴァイオレット。本作はその変化がとても丁寧に描かれているので、今夜の放送ではそのあたりの描写に注目しながら見るのも面白いかもしれない。(文:M.TOKU)

 アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 特別編集版』は10月29日、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』は11月5日、日本テレビ系『金曜ロードショー』にて放送。

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