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岸井ゆきの、“分かりやすい演技”を「最初からはやりません」

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岸井ゆきの
岸井ゆきの クランクイン! 写真:松林満美

 2009年に女優デビュー以来、舞台、ドラマ、映画と幅広いジャンルで活動を続けてきた女優・岸井ゆきの。2017年に『おじいちゃん、死んじゃったって。』で映画初主演を果たすと、その後は緩急自在な役で映画やドラマに引っ張りだこの人気女優として映像界には欠かせない存在になった。そんな彼女の最新作は、彩瀬まるの小説を映画化した『やがて海へと届く』。本作で岸井は、突然消息を絶ってしまった親友への思いを巡らせる女性・真奈を情緒たっぷりに好演した。観ている者に深い思考を巡らせるような立体的なキャラクターを構築する岸井の演技の流儀とは――。

【写真】岸井ゆきの、かわいいポーズ

■現場での監督との対峙(たいじ)方法



 『やがて海へと届く』で岸井が演じた真奈は、浜辺美波ふんする親友のすみれが突然姿を消してしまってから5年、その事実を受け入れられず、日々過ごしている女性。真奈は、すみれを亡き者として扱う周囲への憤りや、何もできない焦りなど、複雑な感情を持ちつつも、そんな思いをうまく出せないという人物だ。

――真奈というキャラクターに対して、どのように役にアプローチしたのでしょうか?

岸井:真奈は性格的にあまり多くを語らない女性なのですが、私もあまりおしゃべりな方ではなく、自分の気持ちを人に話さないまま心に残していることが多いので、そういう自分と似ている部分を重ねていきました。ただ、真奈はすみれのお母さん(鶴田真由)や、遠野くん(杉野遥亮)に自分の思考を押し付けちゃう部分があるので、そこはちょっと違うかなと思いつつ、ベースとしては自分と類似した感情を見つけながら、寄せていった感じです。

――中川龍太郎監督とは初めての顔合わせだと思いますが、真奈という役について現場で話をすることは多かったのですか?

岸井:最初の段階では「こういう風にやろうと思っているのですが、どうでしょうか?」というお話はさせていただきました。中川監督とは初めてだったこともありますが、言葉がすごく独特な方で、私の理解と合っているのか不安だったので、常に確認はしました。中川監督は、作品に対してご自身のビジョンをしっかりとお持ちだったので「その中に私も入れてください」とコミュニケーションを取っていった感じです。


――これまで数々の作品に出演していますが、監督としっかりディスカッションするのは岸井さんが心掛けていることなのでしょうか?

岸井:必ずそう決めているわけではないです。現場の雰囲気や監督によりますね。自分がやろうとしていることと、監督が考えていることが重なっているなと感じれば、敢えて話す必要もないですから。どちらが良い悪いとは思っていないので、現場に入ってから、その組の雰囲気とかリズムで対応しています。

ただお芝居を始めたころは演劇に出演することが多く、同じシーンを何度も稽古するので、毎日「ここはどんな思いで…」と質問していました。それから映像の仕事が増えていくと、ワンシーン撮るとすぐに次に進んでいくので、最初はかなり戸惑いましたが、基本的には不安なことがあったら聞くようなスタンスではいました。

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■途切れない出演作 作品選びで大切にしていること

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