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松村雄基、大映ドラマ不良役は“悔しさ”が原動力 芸歴40年超も「ようやくスタートライン」

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「俺は海鳴りだ!」印象的なセリフに隠された、脚本家からの愛

 当時は「芝居ができずに現場で怒られて、できない自分にも腹が立って。悔しい、見返してやるぞ!という思いで、芝居をしていました。そういった思いが演じた役柄に乗っかっていたように思います」とギラギラとした存在感の秘密は“悔しさ”にあった様子だが、今振り返ってみると「たくさんの人に支えられていたことに気付く」と明かす。

 『不良少女とよばれて』で松村は、ヒロインに惹(ひ)かれていく“東京流星会”の会長・西村朝男役を演じていた。「ドラマが進んでいくと、“物語の後半で朝男が死ぬ”という情報が世間に流れたらしくて。するとTBSに助命嘆願がたくさん届いたそうなんです。その声によって、僕は生き延びることができました」と笑いながら、「ドラマって視聴者の方も参加しながら作っているものなんだなと感じましたし、僕は一人じゃないんだと思えた。そう感じられたことは、僕の役者人生にとって大きな力になりました」と告白する。


 さらに「これは『乳姉妹』のセリフだったと思いますが」と不良グループ“渡り鳥連合”のリーダーで、トランペッターとしての夢を見つけていく田辺路男役を思い返しつつ、「伊藤かずえさん演じる千鶴子をバイクで追いかけて行って“あなた、何者よ!?”と聞かれた路男は、“俺は海鳴りだ!”と答えるんです。今だったらどういう意味なんだろう?と思うようなセリフですよね(笑)。でも当時は“台本に書かれた一言一句、間違えずに言え”と教えられて育っていましたから、現場では一生懸命に“どうやって言うのがいいんだろうか”と考えていました。当然ながらスタッフも誰一人、そういったセリフを発しても笑いませんからね。大映ドラマでは、ずっと忘れられないような、印象的なセリフをたくさん言わせていただきました」とにっこり。

 「のちのち、数多くの大映ドラマの脚本を手掛けてくださった大原清秀さんの妹さんと、手紙のやり取りをさせていただくようになって。妹さんは、“兄は寝ずに、血の汗、涙を流すようにして台本を書いていました”とおっしゃっていました。また、“松村雄基という若い役者がいて、彼がとても頑張っているから、良いセリフを書いてあげたいんだ”と言ってくださっていたそうで。本当に感動しました」と印象的なセリフは脚本家からの愛情深いプレゼントだったと知り、「夢中で突き進んでいたことが、大原先生にも伝わったのかもしれません。精いっぱいやることって、大切なんだなと改めて感じました」と一生懸命にやっていれば、必ず誰かが見てくれているものだと実感を込める。 

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「ようやく役者としてのスタートラインに立てた」

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