松村雄基、大映ドラマ不良役は“悔しさ”が原動力 芸歴40年超も「ようやくスタートライン」
一本芯の通った不良役を演じる機会も多かった松村は、「街で暴走族のお兄ちゃんが握手を求めてきて、“やった! 立派な不良になります!”と言ってくれたり、憧れの目で見てくれたりと、劇画の中のヒーローになったような気分でした」と楽しそうにコメント。そんな彼は、2020年に俳優生活40周年を迎えた。40年という年月も「あっという間だった」と打ち明ける。
「僕は30代半ばくらいから、舞台を多く務めさせていただくようになって。生のお客様を目の前にして芝居をすることで初めて、“お客様がいるからこそ、僕らは舞台に立てるんだ”ということを痛感しました。10代、20代は悔しさを原動力に、自分の承認欲求を満たすために突き進んでいるようなところがありましたが、それだけでは舞台に立ち続けることはできない。それまでの僕は、タイミングに恵まれ、運良く、縁良く、いろいろな方に引っ張ってもらってきていただけなんです。役者というものは、スタッフやお客様に支えられて生きていて、お客様に何かを届けることができる仕事なんだと、そういう自覚をしっかりと持てるようになって、ようやく役者としてのスタートラインに立てた気がしています。やっと、自分がなんのために仕事をしているのかが少し分かりかけてきたような、今日この頃です」とほほ笑む。
コロナ禍で一層、舞台に立つ思いは特別なものになったという。「コロナ禍では、お客様が劇場に足を運べるということが、当たり前ではなくなってしまった。キャストとスタッフ、舞台上と客席、そういった人と人が触れ合って、生のキャッチボールができることの大切さを痛感しました。お客様の拍手を聞くと、つらいことも、悩んでいたこともすべて流されていくような気がするんです。やっぱり生身の触れ合いって、生きる上でのエネルギーをくれるものなんだなと感じています。きっとそれは、お客様にとっても同じこと。舞台を観に来てくださった方々に対して、きちんと何かを持って帰れるような作品にしなければという責任感も強くなったように思います」と真っすぐな瞳で語る。