「東宝シンデレラ」受賞 福本莉子がオーディション応募者へ伝えたいこと「丸裸の自分を見てもらって」
――実際、学生生活と芸能活動の両立はどんな感じだったのですか?
福本:グランプリを受賞すると、副賞で映画の出演や雑誌の取材など、これまで全く経験したことがないようなお仕事が入ってきました。最初は戸惑いましたが、だんだんと慣れてきて、受賞当時の不安みたいなものは少しずつ払拭されていった感じです。
――学業との両立は大変ではなかったですか?
福本:受賞後すぐにNHK高校講座「物理基礎」に、事務所の先輩である斉藤由貴さんと一緒にレギュラー出演させていただいたのですが、当時土日に収録があって2本撮りだったんです。私は土曜日まで学校だったので、日曜日に東京で収録して、月曜日の朝、始発で大阪に帰るという生活を毎週していました。テスト期間などは、始発の新幹線では間に合わなかったので、飛行機で帰って空港から学校に直行するというときもありました。そのときはとても大変でしたが、やるからにはお仕事も勉強もどっちも頑張りたいという思いがあったので、逆に気合が入りました。
――今回オーディションを受ける方も、学業と芸能活動の両立に不安を持つ人も多いのではと思います。秘けつは?
福本:気合です!(笑)。根性論ではないですが、本当に「やるぞ」という気持ちさえあれば、きっと両立できると思います。
■応募者へ伝えたいこと「丸裸の自分を見てもらって」
――過去には沢口靖子さんや長澤まさみさんなど大活躍されている先輩がいる「東宝シンデレラ」オーディションですが、グランプリを受賞してプレッシャーみたいなものはありましたか?
福本:私は第8回「東宝シンデレラ」オーディションで受賞させていただいた人の中でも最年長だったので、最初からいろいろなお仕事を頂いたんです。でも逆に言えば、一歩ずつ進んでいくところを5段飛ばしぐらいの感じだった。自分の実力よりも大きな仕事を頂く機会が多く、プレッシャーを感じる暇がないというか、必死に食らいつかなければという思いが強かったんです。もちろん東宝シンデレラという伝統もありますし、先輩方に恥じないように…という思いはありますが、私は私なりの道を進めばいいという思いで、あまりプレッシャーみたいなものはなかった気がします。
――「なにか変わりたい」と思っていた気持ち。東宝シンデレラでグランプリを受賞して、変わりましたか?
福本:まず環境が180度変わりました。芸能界という全く知らない世界に自分がいるというのも奇跡だと思います。仕事って辞めようと思えば、いつでも辞められると思うのですが、これまで「辞めたい」と思ったことはないです。オーディション前は、大学に進学しても、何をやりたいんだろう…という漠然とした不安があったのですが、ある意味で強制的に環境が変わり進んだ道が、自分に向いていて、とてもやりがいのある仕事だったので、大きな喜びがあります。
――どんなときにやりがいを?
福本:昨年写真集を出させていただいたのですが、そのとき「お渡し会」があって、初めてファンの方と交流する機会があったんです。そのときに、作品のことなど温かい言葉をたくさん掛けていただき、皆さんの愛を感じることができました。応援してくださる人がいるからこそ、頑張れるんだなと改めて実感できました。
――第9回の応募者にメッセージをお願いします。
福本:「どうやったら気に入られるのかな?」みたいな思いで臨むよりも、丸裸の自分を見てもらおうという気持ちの方がいいのかなと思います。大変なこともたくさんありますが、私は一歩踏み出して良かったなと確実に思えているので、飾らず自分自身をアピールしていただければ。ご一緒できることを楽しみにしています。
(取材・文:磯部正和 写真:上野留加)