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日常の「これっておかしいよね」をテーマに取り入れた――『激怒』監督・高橋ヨシキ×主演・川瀬陽太インタビュー

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高橋ヨシキ

川瀬陽太

■『激怒』が刑事モノである理由

――『激怒』の主人公を刑事にした理由は?

高橋監督:川瀬さんのアイデアです。しかもかなり早い段階でしたね。「刑事モノ」は、やろうと思えば何でもできるジャンルなわけです。アベル・フェラーラの映画『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』だって刑事ものだし、ヴェルナー・ヘルツォークの同題の映画『バッド・ルーテナント』もそうです。それまで「刑事モノ」という可能性は考えていなかったんですが、おもしろいなと思いましたね。

映画『激怒』より (C)映画『激怒』製作委員会
川瀬:まず、ホラーじゃない方がいいと。さっきのお話にも通じますが、ヨシキはホラーだけの人間じゃないですし、マニアが集まってワイワイやってる作品に見られたくないというのもあって。そこで例えば「刑事モノ」とかどうよ、とヨシキに言ってみたら反応が良かったんです。あとは「刑事モノ」という設定の足枷があった方が、それを取り払ったときに面白いものになるという期待もありました。

――その上で、なぜ「怒り」をテーマにしようと思ったんでしょうか?

川瀬:もともとヨシキとは飲み友達なんですよ。友達と飲むと、日々のムカついたことを話すじゃないですか。「怒りがテーマ」って言うとなんか高尚な感じがしちゃうんですけど、生きてると腹立つことってあるので、そういう普遍な感情が昇華してこのテーマになった感じです。

映画『激怒』より (C)映画『激怒』製作委員会
――映画のオープニングで、全く車が来ない横断歩道の赤信号を待っている人たちを尻目に、主人公が平然と信号無視して横断していく。このシーンに作品のテーマが凝縮されている気がしました。

高橋監督:信号は本来、歩行者や車の安全を守るためにあるものですよね。しかし、一本道で見渡す限り一台の車も来ないのに、信号が変わるのを待ち続けている人は一定数必ずいます。信号という一種の命令が状況より上位に来ているわけです。それはよく考えてみると不可解なことです。あと劇中にもアレンジした形で出していますが、「みんな見てるぞ!」という言葉と、2つの大きな目が書いてあるポスターが町のそこかしこに貼ってありますよね。ジョージ・オーウェルの『1984年』の「ビッグ・ブラザー・イズ・ウォッチング・ユー」の「ビッグ・ブラザー」が「みんな」に置き換わっているもので、現実のディストピア化を如実に示すものだと思います。お互いにビッグ・ブラザーとなって相互監視しろという命令なわけです。そういう日々の生活の中で「これっておかしいよね」って感じることを映画の中に取り入れています。

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■「サム・ライミの引き出しが開いちゃう(笑)」

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映画『激怒』予告編

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