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日常の「これっておかしいよね」をテーマに取り入れた――『激怒』監督・高橋ヨシキ×主演・川瀬陽太インタビュー

映画

映画『激怒』メイン写真
映画『激怒』メイン写真 スチール:ノーマン・イングランド(C)映画『激怒』製作委員会

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高橋ヨシキ

川瀬陽太

 映画評論家であり、アートディレクターでもある高橋ヨシキが企画・脚本・監督を務めた初の長編映画『激怒』がついに公開を迎えた。多くの映画関連書籍を出版し、映画イベントのトークショーでは軽快かつディープなトークを繰り広げるなど、映画の伝道師としての一面も持つ高橋監督。念願の長編映画デビューとなった本作の撮影秘話、こだわりなどを、主演とプロデューサーを兼務する川瀬陽太と共に語ってもらった。

【写真】理不尽な暴力の支配に怒り大爆発! 『激怒』フォトギャラリー

■13歳から思い続けた長編映画デビュー作が完成

――長編映画を作りたいという気持ちは、13歳のときに初めて8ミリカメラを手にとったときに抱いたそうですね。そのモチベーションは今日まで途絶えることはなかったですか?

高橋監督:モチベーションはずっと持ち続けていました。途絶えたことはなかったですね。これまでも脚本を書いたりプロットや企画を提出したりはしていたんですが、なかなか長編映画という形にはならなかったんです。スピンオフという形で短編を作る機会はあったりしたので、全編英語の短編を撮って海外に出すとことも考えました。そこで、知り合いの『喰らう家』(2015)などのテッド・ゲイガン監督に、「手始めに短編を作って売り込むという手段は有効なのか?」と相談してみたんです。答えはNO。「絶対に長編をやるべきだ」というんです。長編を撮ればそれが名刺代わりになると。

しかしながら、そうは言ってもどうしたものかと。製作資金のこともあるし、キャストやスタッフもどうやって集めたらいいものかと。そこで最初に相談したのが、友人でもある川瀬さんなんです。2017年のことですね。

川瀬:いきなりヨシキに飲み屋に呼び出されて、映画を撮りたいって言いだして(笑)。

――初めて長編映画に挑戦してみた、率直な感想はいかがですか?

高橋監督:「長編はまるで違う体験だよ」といろんな人から聞いていたんですが、本当にそうでした。短編は設計図が小さいので全体が把握しやすく、撮影日数も短いので短距離走のような感じですが、長編は気を配らなくてはいけないことが膨大で、かつ長距離走です。ずっと集中力を保つ必要もあります。日々撮影している素材が、全体という大きなパズルのどこにどうはまり、どう機能するべきなのか、常に注意して作業を進めました。

映画『激怒』メイキング 主演の川瀬陽太(中央)と高橋ヨシキ監督(右) (C)映画『激怒』製作委員会
――川瀬さんは、長年の友人でもある高橋監督の現場での印象はいかがでしたか?

川瀬:一番思ったのは、「やっぱり映画が好きなんだな」ということ。それと、制作していく中で、撮影監督の高岡(ヒロオ)さんとの密なやり取りが必須になるのは分かっていたと思うんですが、その上で指示がとても的確だったのも印象的でした。

初めて長編を撮るということで、どこかで息切れするんじゃないだろうかと邪推したこともあったんです。でも、自分の撮りたいものに対して忠実でありながら、ちゃんと現場をコントロールしていました。

――現場ではおふたりで頻繁にディスカッションされたのでしょうか?

川瀬:僕らの意思疎通はもう飲み屋で終わってるんですよ(笑)。やりたいことや内容については、すでに了解の上で撮影に入っていたので、僕は台本に書いてあることの中から色々と遊ばせてもらった感じです。セリフをこうしようああしようというやり取りもスムーズだったし、逆にヨシキの僕に対する演出についての記憶はあまりないですね。どう撮ろうとしているかはすぐに分かるし、こうしたいというのもハッキリしていますから。

高橋監督:川瀬さんにキャスティングも含め、今回の座組を作ってもらいました。そのおかげもあって、不要なやり取りや理不尽なことが極めて少ない現場になったと思います。

川瀬:間に挟まなきゃいけない人もいなかったしね。

高橋監督:そう、ハリウッド映画であるように、銀行家や保険会社が撮影を見に来てケチつけるとかね(笑)。今、『ゴッドファーザー』の裏側を描いたHuluドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』を観てるんですが、本当にそういう人たちが現場に来てプレッシャーをかけている場面があったり。

映画『激怒』より (C)映画『激怒』製作委員会
川瀬:俺たち『ポンヌフの恋人』を撮ってるわけじゃないから、大丈夫だよ(笑)! スタッフィングやキャスティングという立場からすると、今回は、例えばホラーが好きな人たちを揃えるということはせず、実力のある方々にお願いしています。自分の経験上、いわゆる“好きな人同士”で作ってしまうと、いいことないんですよ。

高橋監督:マニア同士、内輪のノリで盛り上がるのは楽しくても、それだけでは失われてしまうものが多すぎると。

川瀬:「そのこだわり何なの?」みたいなことになりかねない。お客さんを限定することにもなってしまいますし。そこはよく話し合いましたね。

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■『激怒』が刑事モノである理由

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映画『激怒』予告編

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