<令和ドロンジョ>池田エライザ「勝ち負けにこだわっていると本当に大切なものに気づけない」
七音にとって唯一アイデンティティを保てるのが闘うことであり、勝利すること。池田は「それが親の教えであり、現実の厳しい生活から抜け出すためには、勝つしかないという。ある意味で洗脳ですよね」と七音の置かれている立場を慮るが「選手は勝ち負けで大きく人生が変わっていくという意味では、勝ちにこだわることは必要だと思いますが、観ている側は、たとえ負けた選手でも、闘い方や闘う姿勢に共感できれば、それで満足することもできますよね」とボクシングの世界でも、決して勝ち負けだけでは判断できないものがあるという。
池田自身、明確な正解がない俳優という仕事のなか“勝ち負け”という判断基準に対してどんな考えを持っているのだろうか――。
「どこに価値を見出すかで大きく変わってきそうですが、勝っても孤独であるよりは、負けたとき『また次があるから』と言ってくれる人間関係を築けた方が、豊かだと思うんです。もちろん一概には言えませんが、振り返ってみても、負けて悔しかったことは覚えているのですが、勝ってうれしかったことってそんなに覚えていないんです」。
続けて池田は「悔しい思いや、失敗して挫折したときに感じた気持ちって、きっと次につながる」と語ると「その思いを経験として誰かに伝えることで、自身の糧にもなるし、負けていた時代があるからこそ、勝つことの重みも出てくる。くじけることって自分を豊かにしてくれると思うんです。勝ちにこだわって進んでいくと、本当に大切なものに気づけない気がします」と思いを述べる。