清原果耶、独りよがりにならないための“自分”と“周囲”との向き合い方
――劇中、水墨画には「技術や才能じゃない何かがある」というセリフが出てきます。お芝居にも通じるものがあるのかなと感じたのですが。
清原:私はとにかく考える癖があって。役柄についてもしっかり考えたい一方で、時に現場で生まれる直観みたいなものが大切だとも感じています。なので、そんな時は監督としっかりコミュニケーションを取りたいなと。ただ、自分の考えだけだとどうしてもエゴになってしまうので、そのバランスを取ることが難しいですね。
――以前「頑固なところがあるので、視野を広く持ちたい」と話していましたが、その辺りは変化してきましたか?
清原:10代の頃よりは、いろいろな人と関わる機会も増えているので、お話しをするたびに「この人にはこういう考え方があるんだな。覚えておこう」みたいな選択肢はどんどん増えていると思います。その都度「こうした考えの方がいいのかな」と思うので、少し柔軟になってきているのかなと。
――それは大人になったということでしょうか?
清原:難しいですね(笑)。いま柔軟になってきたかも…と話しましたが、すべてにおいて柔軟になる必要はないだろうという思いもあって。まだ人生経験が浅いので何とも言えませんが、独りよがりにならず、かといってすべてを受け入れるわけでもなく。しっかり自分の気持ちと周囲の思いのバランスを考えていきたいです。
「考えることはやめたくない」と話す清原。 “考える”からこそ、悩みもある。それでも現場で感じる直観と考えたことがマッチした瞬間が、本作で言うところの「技術や才能ではない何か」が生まれる瞬間なのかもしれない。「お芝居を楽しめています」と笑顔で語る清原は、悩むことも楽しんでいるように見える。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)
映画『線は、僕を描く』は10月21日公開。