清原果耶、独りよがりにならないための“自分”と“周囲”との向き合い方
「あまり柔軟性がなくて頑固なんですよね」と以前のインタビューで自身について語っていた女優の清原果耶。それでも、真摯(しんし)に作品に向き合う清原の姿勢は多くの共演者や監督たちを魅了し、作品へのオファーは後を絶たない。最新作の映画『線は、僕を描く』では、『ちはやふる ‐結び‐』で作品を共にした小泉徳宏監督と再タッグを組んだ。清原演じるヒロイン・千瑛(ちあき)は、水墨画の巨匠を祖父に持つ新進気鋭の若手。自身の感情が大きく作品に影響を及ぼすという水墨画。撮影を通してしっかりと自分の心に向き合うことの大切さを痛感したという清原は、“頑な”だと自覚していた自身の心とどのように向き合って日々を過ごしているのだろうか。
【写真】清原果耶、りりしくも柔らかい雰囲気をまとう横顔が美しい
■小泉監督との再会、初心に戻れた作品との出会い
――今作は、水墨画を通して若い男女が自身と向き合いながら成長していく物語ですが、台本を読んでどんな印象を持ちましたか?
清原:「小泉監督や(横浜)流星くんとまた一緒に作品を作れるんだ、うれしいな」という気持ちで。台本を読み終えた感想は、とても美しい映画になれば…という思いでした。
――『ちはやふる -結び-』以来、約4年ぶりの小泉監督とのお仕事。今回の現場で印象に残っていることはありましたか?
清原:小泉監督から「ヒロイン感」を大切にしてほしいと言われました。千瑛は最初の登場シーンから少しツンケンした強めな感じだったのですが、そこに少女味というか「思春期でバランスがとれていない儚(はかな)さみたいなものが混ざればいいよね」という話をしました。
映画『線は、僕を描く』より(C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会
――清原さん自身、これまでも何度かヒロインを演じていますが、“ヒロイン感”という言葉はピンときましたか?
清原:まったくきませんでした(笑)。正直「ヒロイン感ですか?」となりました。でも見た目とかではなく、心持ちというか、刺々しい中にも、どこかかわいらしさをにじませよう…という感じを表現できればと思って演じました。
――水墨画を体験して、どんなことを感じましたか?
清原:この作品で初めて水墨画というものに触れましたが、とても難しかったです。自分の気持ちが線に出るというか、自信がないとそれも写ってしまうので「マズイ」と思いながらやっていました。でもその分、やればやるだけ結果が出る(水墨画が)好きです。
――自分が描いた水墨画には、どんな線が出ていると思いましたか?
清原:自分では分からなかったのですが、指導いただいた先生からは「かわいらしい見た目をしているのに、とても大胆な線を描くね」と言われました。描いている時は緊張していたので、意外な言葉だと思いましたが、考えてみると「いいや、やっちゃえ」と、割と開き直って大胆になることも多いので、そういう部分が出ているのかなと思ってすごくおもしろかったです。
――いろいろな出会いがあった作品なんですね。
清原:そうですね。作品を見終わった後は、すごく疾走感に飲み込まれたような感覚になりました。1つのことに向き合う大切さを改めて感じられ、初心に戻れたような気がします。私自身も背中を押してもらえたような感覚でした。